「人材業界って、残業が多いって聞くけど実際どうなんだろう」と気になって調べているなら、その感覚は半分正しくて、半分は誤解かもしれません。
結論から言えば、人材業界の残業時間は「職種・会社・入社後の経過」によって大きく異なります。
ひとくちにブラックとも、ホワイトとも言い切れないのが実態です。
この記事では、人材紹介3社の立ち上げを経験し、CA(キャリアアドバイザー)とRA(リクルーティングアドバイザー)の両方を経験してきた著者が、職種別のデータ・残業が多くなる構造的な理由・入社後の変化・ホワイト企業の見極め方まで、本音で解説します。
監修者
株式会社アイジール 代表
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の転職エージェント事業を運営。
人材業界の残業時間は平均どのくらいか

人材業界の残業時間は、業界全体でならすと月15〜20時間程度といわれています。
ただし、職種や担当する業務によって差が大きく、同じ「人材業界」でも月20時間の人もいれば60時間近い人もいます。
まず全体のデータを押さえてから、なぜそれほど差が生まれるのかを見ていきます。
労働基準法に基づく36協定により、時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間です。人材業界の企業も適用対象であり、2019年の働き方改革関連法施行以降は大手を中心に残業管理が厳格化されています。
人材業界の平均残業時間と他業界との比較
パーソルキャリアが2025年8月に正社員15,000人を対象に実施した調査では、全職種の平均残業時間は月20.6時間でした(*1)。
他業界と比較すると、マスコミ・広告が月33時間前後、不動産・建設が月30時間前後と言われており、人材業界は特別に残業時間が長い業界ではないというのが数字上の実態です。
ただし、この平均値には注意が必要です。
後ほど詳しく解説しますが、平均はベテランCAの効率化された数字も含まれており、入社1〜2年目の方は平均より長くなりやすい傾向があります。
*1: パーソルキャリア「平均残業時間の実態調査2025年版」
会社・職種によってこれだけ差が出る
「人材業界」とひとくちに言っても、職種や扱う領域によって残業時間は大きく変わります。
正直なところ、現場の感覚としては、同じ会社の中でも担当件数や業務領域の違いで月20時間以上の差が生まれることは珍しくありません。
たとえば、求職者専任の片面型CAと、求職者・企業の両方を担当する両面型CAでは、1日の業務密度が根本的に異なります。
この差が、残業時間の差として表れてきます。
入社1年目・担当件数が多い・両面型という条件が重なると、月30〜60時間に達するケースも実際にあります。平均値は参考値として使い、自分が目指す職種の実態を別途確認することが重要です。
人材業界の残業が多くなりやすい3つの構造的理由

人材業界の残業が多くなりやすい最大の理由は、求職者と企業の「時間帯の非同期」です。
在職中の求職者との面談は夕方以降に集中し、クライアント企業への架電・連絡は日中に行わなければなりません。
この構造が、残業が発生しやすい根本的な原因になっています。
理由①「求職者は夕方以降、企業は日中」という時間帯の非同期問題
在職中の求職者は、仕事が終わってから面談に参加することがほとんどです。
そのため、面談の予約が17時以降・18時以降に集中する傾向があります。
一方で、採用企業の担当者と話せるのは平日の日中です。
求人票の確認・条件交渉・書類の確認といった企業側とのやり取りは、9〜17時の間に完結させる必要があります。
つまり、CAは日中に企業対応・夕方から夜に求職者対応という二段構えの1日を送ることになります。
「残業している」という感覚よりも、「求職者に合わせた時間帯で働いている」という感覚の方が実態に近い、というのが現場の正直なところです。
理由②書類業務が後ろ倒しになる1日の流れ
実際に人材紹介の現場で感じてきたのは、CAの1日は「人対人の時間」と「書類の時間」が常に競合しているということです。
午前中はフォローコール対応、昼は社内MTG、午後は求職者面談、夕方以降は夜のコール対応。
この流れの中で、書類添削・求人マッチング・推薦状の作成といった書類業務が後ろ倒しになりやすいのです。
定時内に書類作業が終わる日は月に数日しかないというのが、特に立ち上がり期のCAの現実です。
書類系の業務はデジタル化が進んでいるものの、推薦文のカスタマイズや企業ごとの対応メモなど、まだまだ手作業が必要な業務が多く残っています。
理由③担当件数が増えるほど積み上がる構造
CAの残業量は「担当している求職者の数」と正比例します。
担当件数が20名であれば、各求職者のフォロー・進捗管理・書類対応を並行して進めることになります。
担当件数が40〜50名になると、1人あたりに使える時間が物理的に減り、残業でカバーせざるを得ない状況が生まれます。
会社が1名のCAに何名の求職者を担当させているかは、残業時間に直結する最も重要な指標の一つです。
この件数は求人票には載っていませんが、入社前に必ず確認しておきたい情報です。
残業時間が気になる方に知っておいていただきたいのは、担当件数の設計が残業時間に大きく影響するという点です。
アイジールジョブは1名あたりの担当数を10〜20名程度に絞り、一人ひとりにしっかり向き合える環境を整えています。
CA職の職場環境についてもっと知りたい方は、ぜひ一度アイジールジョブへ相談してみてください。

職種・セグメント別の残業時間の実態

職種で見ると、CAよりもRAや両面型の方が残業は長くなりやすい傾向があります。
RAは企業側の都合に合わせた日中対応も多く、CAの夜間対応と重なると月40〜60時間になるケースが出てきます。
自分がどの職種・領域を目指すかによって、想定すべき残業時間は変わります。
職種別の残業時間(キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザー・両面型)
職種別のおおよその残業時間の目安は以下の通りです(業界実態ベース。担当件数・会社・繁閑期によって変動します)。
| 職種 | 月残業時間(目安) | 残業が生じる主な理由 |
|---|
| CA(キャリアアドバイザー)片面型 | 20〜40時間 | 夜間面談・書類業務の後ろ倒し |
| RA(リクルーティングアドバイザー)片面型 | 30〜50時間 | 企業架電・訪問・提案が日中に集中 |
| 両面型アドバイザー | 40〜60時間 | CA・RA両方の業務を1人でこなす |
| キャリアコーディネーター(派遣系) | 15〜25時間 | 夜間対応が少なく定型業務が多い |
ただし、これはあくまで目安です。
担当件数の多さ・会社の仕組み・繁閑期によって、実際の数字は大きく前後します。
扱う領域・セグメントでも変わる
同じCA・RA職でも、扱う領域によって残業時間のパターンは変わります。
<残業が長くなりやすい領域>
<比較的残業が短くなりやすい領域>
大手と中小・特化型、残業の量と質の違い
「大手なら残業が少ない」と思いがちですが、実態は少し異なります。
大手企業はPCシャットダウン制度・フレックスタイム導入などで残業時間の「数字」を抑える仕組みが整っています。
ただし、KPI管理が徹底されており、数字に対するプレッシャーの強さは大手の方が激しい場合もあります。
採用する側の視点で言うと、大手から中小エージェントに転職してきたCAが「大手のときより残業は増えたが、自分でペースをコントロールできる感覚はある」と話すケースはよくあります。
残業の「量」と「納得感」は別物です。
どちらが自分に合うかを、入社前に考えておくことが重要です。
入社後の残業はこう変化する

入社直後の1〜3ヶ月は、業務のキャッチアップと実務が重なり、残業が最も多くなりやすい時期です。
この時期を越えて面談の型ができてくると、残業量は徐々に安定してきます。
「最初がきつい」という事実を知っておくだけで、入社後の心理的な負荷は大きく変わります。
立ち上がり期(1〜3ヶ月目)が残業のピーク
入社直後は、業務の流れ・社内ツール・求人データベースの使い方を覚えながら、実際の求職者対応も並行して進めなければなりません。
フォローコールをかけてもなかなか繋がらず、面談の型もまだできていない状態で書類作業が溜まっていく。
「人の役に立てている実感がほとんどない中で、残業だけが積み上がっていく」という状態が、入社後2〜4ヶ月目に起きやすいです。
これまで多くのCAと一緒に働いてきた中で実感するのは、この時期が最も離脱が多いということです。
ただ、これはほぼ全員が通る道であり、人材業界特有の「立ち上がりの壁」と言えます。
4〜6ヶ月目に安定してくる理由
4〜6ヶ月目になると、面談の流れ・よく出る質問・求職者への提案パターンが徐々に体に染み込んできます。
書類を作る速度が上がり、フォローコールも効率化されてくるため、同じ担当件数でも残業時間が自然と短くなっていきます。
この頃に1件目の成約が出ると、「ようやく意味が見えてきた」と感じる人が多いです。
成約の手応えが出てくると、夜も働いて成果を出して年収を上げたいという動機が生まれ、残業を「自分への投資」として捉えやすくなります。
「成果が出たら担当が増える」という構造的な壁
ここで、正直に伝えておきたい点があります。
1年を超えてパフォーマンスが安定してくると、担当件数が増えるケースがあります。
「成果を出したのに残業が減らない、むしろ増えた」という経験をするCAは少なくありません。
これは会社の担当件数設計の問題でもあります。
担当件数の上限が設けられているかどうかを入社前に確認することの重要性は、ここにあります。
成果を出して年収を上げたい人にとっては、担当件数が増えることはむしろ歓迎できる環境かもしれません。
ただし、担当件数の増加に上限を求めるなら、入社前の確認が欠かせません。
1〜3ヶ月目がピーク→4〜6ヶ月で安定→1年超で自分のペースが生まれる、という流れが一般的です。ただし「成果が出ると担当件数が増える」という構造もあるため、担当件数の上限設計がある会社かどうかの確認が重要になります。
残業時間は業界名だけで決まるのではなく、担当件数の設計やインセンティブの作り方で大きく変わります。
アイジールジョブでは、CA職に特化した視点で、求人票だけでは見えない担当数や働き方の実態まで整理しながら相談できます。
残業の少ない人材企業を具体的に知りたい方は、ぜひ一度アイジールジョブへご相談ください。

残業が少ない人材企業に共通する特徴

残業が少ない人材企業には、共通した特徴があります。
求人票の数字よりも、担当件数の上限設計やインセンティブ発生ラインの透明性を見た方が、実態に近い職場環境が見えてきます。
「残業が少ない=良い会社」という単純化は注意が必要ですが、残業時間は会社の設計思想が出やすい指標です。
フレックス・残業上限制度よりも大事な「担当件数の設計」
残業が少ない人材企業に共通しているのは、フレックスタイム制や残業上限ルールよりも、1名のCAに何名の求職者を担当させるかという設計が合理的であることです。
担当件数が多すぎると、どれだけ効率化を頑張っても残業が積み上がります。
逆に担当件数が適切に管理されていると、定時内に業務が収まる日が増えていきます。
自分がCA組織を運営してきて思うのは、「残業が少ない」と言われている会社ほど担当件数の上限を明示している傾向があるということです。
面接で「1名あたりの平均担当件数は何名ですか?」と聞いてみると、会社の担当件数への考え方が透けて見えます。
インセンティブ構造が整っている会社の特徴
インセンティブ発生ラインの透明性は、残業の少なさと連動しています。
インセンティブが発生するライン(月何件成約しないといけないか)が高すぎると、大多数のCAがインセンティブを受け取れないまま働き続ける状況が生まれます。
「残業してでも件数を稼ごう」という動機が働きやすくなり、自然と残業が増えていきます。
逆に、インセンティブ発生ラインが適切で「頑張れば手が届く」と感じられる設計の会社は、残業時間も短くなりやすい傾向があります。
「インセンティブが発生するのは月何件成約からですか?」という質問は、会社の設計思想を確認するための有効な一手です。
長く働いているキャリアアドバイザーが多い会社に注目する理由
残業が少なく働きやすい環境かどうかを判断するもう一つの指標が、長く働いているCAが多いかどうかです。
人材業界は離職率が高い業界です。
その中で3年・5年と同じ会社で働き続けているCAが多い会社は、内部で「続けられる仕組み」が機能していると考えてよいでしょう。
口コミサイト(OpenWork(オープンワーク)など)で在籍期間の分布を確認したり、面接で「平均在籍年数」を聞いたりするのが、外からでもわかる確認方法です。
入社前に残業の実態を見極める確認ポイント

求人票に書かれた平均残業時間は、長く在籍するベテラン社員を含めた全社平均です。
入社1年目の実態を知るには、面接で直接「1年目の方の平均残業時間を教えてください」と聞くのが最も確実です。
この一点を確認するだけで、求人票の数字との乖離が見えてきます。
求人票の「平均残業時間」が実態と乖離しやすい理由
求人票に掲載される残業時間は、多くの場合、全社員の平均値です。
長く在籍している効率化されたベテランCAの数字が含まれているため、入社直後の1〜2年目が実際に感じる残業時間より短く見えやすい構造になっています。
「平均15時間」と書かれていても、入社直後はその倍以上になることも珍しくありません。
また、「平均」の定義が明記されていない場合、特定の時期・対象に絞った数字が使われているケースもあります。
「求人票の残業時間は実態より短く見える可能性がある」という認識を持った上で、複数の方法で確認することが重要です。
面接で聞くべき3つの質問
入社前に残業の実態を確かめるために、面接で確認しておくと有益な質問を3つ紹介します。
<質問①:入社1年目の方の平均残業時間を教えてください>
全社平均ではなく「1年目」に限定して聞くことで、ベテランの数字に隠れた実態が見えます。
具体的な数字を答えられない会社は、把握していないか、答えにくい事情がある可能性があります。
<質問②:1名のキャリアアドバイザーが何名程度の求職者を担当していますか?>
担当件数の上限設計は残業時間に直結します。
「20名以下」と「40〜50名」では、業務負荷がまったく異なります。
<質問③:インセンティブが発生するのは月何件成約からですか?>
インセンティブのラインが高すぎる会社は、達成できない人が残業でカバーしようとする構造になりやすいです。
この質問への答え方で、会社の設計思想が透けて見えます。
口コミサイトの残業情報を読む際の注意点
OpenWork(オープンワーク)などの口コミサイトは、残業実態の確認に有効なツールです。
ただし、口コミを読む際には以下の点に注意してください。
口コミだけで判断せず、面接での直接確認と組み合わせることで、より正確な実態が見えてきます。
求人票の数字と実際の働き方のギャップを事前に知っておきたい方には、CA職専門のアイジールジョブへの相談がおすすめです。
CA職特化の求人と業界内部の情報をもとに、求人票だけではわからない職場環境もお伝えできます。
現役キャリアアドバイザーへよくある質問

Aパーソルキャリアが実施した調査では、全職種の平均残業時間は月20.6時間でした。ただし職種・担当件数・会社によって差が大きく、両面型では月40〜60時間になるケースもあります。平均値だけで判断せず、自分が目指す職種の実態を別途確認することが重要です。
Q人材業界でCAとRAはどちらが残業が多いですか?
A一般的にはRAの方が残業は長くなりやすい傾向があります。CAは夕方以降の求職者対応が中心ですが、RAは日中の企業架電・訪問・提案も多く、両面型になると月40〜60時間になるケースが出てきます。担当件数や会社の仕組みによって個人差があります。
Q人材業界でホワイト企業を見分けるには何を見ればいいですか?
A求人票の平均残業時間よりも、①1名のCAが担当する求職者数、②インセンティブが発生するラインの透明性、③長く働いているCAが多いかどうかの3点を確認することをおすすめします。面接で「入社1年目の方の平均残業時間」を直接質問するのが、最も実態に近い情報を得られる方法です。
Q人材業界の残業は入社してどのくらいで落ち着きますか?
A入社直後の1〜3ヶ月が最も残業が多くなりやすく、4〜6ヶ月で面談の型ができると安定してきます。ただし、成果が出始めると担当件数が増えるケースもあるため、「時間が経てば必ず減る」とは言い切れません。担当件数の上限設計がある会社かどうかが、重要な分岐点になります。
Q残業が多い人材会社に転職してしまった場合、どうすればいいですか?
Aまず残業が多くなっている原因を特定することが重要です。担当件数が多すぎるなら上長に相談、書類業務の効率化ができていないなら改善の余地があります。構造的に変わらない場合は、担当件数の設計が適切な会社への転職を検討することも選択肢の一つです。CA職専門のエージェントに相談すれば、求人票だけではわからない実態情報をもとにアドバイスを受けられます。
【免責事項】
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