「人材業界は稼げる」と聞いて調べ始めると、平均900万円台の会社が出てきたり、300万円台という声が出てきたりで、結局どっちなんだと混乱しがちです。
答えを先に言うと、人材業界の年収は全産業平均よりは高いものの、同じ業界の中で300万円台から1,600万円超まで開きます。どの事業形態で、どの職種で、どんなインセンティブ設計の会社にいるか。ここで年収はまるごと変わります。
この記事は、人材紹介の会社を3社立ち上げて報酬設計を何度も組んできた立場から、企業別ランキングの読み方と、本当に稼げる会社の選び方までを整理したものです。ランキングの数字をうのみにせず、自分の年収に直結する部分だけを見極められるようにします。
監修者
株式会社アイジール 代表
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の転職エージェント事業を運営。

人材業界の年収は高いのか、低いのか

結論から言えば、平均で見れば高い、ただし振れ幅がとても大きい、というのが実態です。
人材業界の主要企業の平均年収は500〜540万円台で、全産業の平均給与478万円(*2)を上回ります(*1)。数字だけ見れば「高い業界」に入ります。
ただ、この平均はあまりあてになりません。
同じ人材業界でも、外資系ハイクラスエージェントの900万円台から、未経験スタートの300万円台まで、現実には大きく散らばっています。平均年収は「業界の真ん中」ではなく、高い人と低い人をならした見かけの数字だと思っておいてください。だからこそ、次のランキングも「読み方」が大事になります。
*1: OpenWork「人材サービス業界 平均年収ランキング」(2026年1月時点/参考:パーソルキャリア540万円・マイナビ535万円等)
*2: 国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査(確定数)」(2025年9月発表)
企業別年収ランキング【2026年最新版】

まずは口コミベースの平均年収で、主要企業を並べます。
OpenWorkの社員回答による平均年収(2026年1月時点)です(*1)。数字の大小だけでなく、後ろの「事業タイプ」もあわせて見てください。
外資系エージェント
| 企業名 | 平均年収 |
|---|
| エンワールド・ジャパン | 942万円 |
| ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン | 787万円 |
| ロバート・ウォルターズ・ジャパン | 778万円 |
| ハウテレビジョン | 764万円 |
| タイズ | 758万円 |
外資系がランキング上位に並ぶのは、ハイクラス・専門職領域を扱い、上位コンサルタントの報酬が高いからです。
ただし、この数字は活躍している層が引き上げているもの。未経験で入ったときの実態とは別物だと考えてください。
大手総合型
| 企業名 | グループ売上 | 年収の目安 |
|---|
| リクルートホールディングス | 約3兆4,164億円 | グループ平均は高水準(CA職は400〜600万円台が中心) |
| パーソルキャリア | (パーソルHD 約1兆3,271億円) | 540万円 |
| パソナグループ | 約3,567億円 | 459万円 |
売上規模は国税庁・会社四季報の業界地図(*3)から取りました。
注意したいのは、大手ホールディングスの「平均年収」には企画・管理・エンジニアなど多くの職種が混ざる点です。CA職だけに絞ると、平均より下がる傾向があります。
特化型・中規模
| 企業名 | 平均年収 |
|---|
| JACリクルートメント | 675万円 |
| エス・エム・エス | 541万円 |
| マイナビ | 535万円 |
JACのように特定領域に強い会社は、紹介単価が高く、年収も上振れしやすい傾向があります。
規模が中くらいでも、扱う領域とインセンティブ設計しだいで大手を超えるケースは普通にあります。
*3: 会社四季報『業界地図2025年度版』(リクルートHD・パーソルHD・パソナグループの売上規模)

「ランキング上位=稼げる会社」ではない、2つの落とし穴

ランキングは便利ですが、そのまま転職先選びに使うと外します。
落とし穴は大きく2つです。
ひとつめは、外資系の高い数字は上位コンサルタント職が引き上げているということ。
表に出る平均は「その会社のトップ層も含めた平均」で、入社直後のあなたの年収ではありません。
ふたつめは、大手ホールディングスの平均には多職種が混ざっていること。
CA職に限定すると、表の数字より低くなることがほとんどです。見るべきは「全社平均」ではなく「自分が就く職種の、そのフェーズの年収」です。
誰の平均か(トップ層込みか)、どの職種か(CA職単体か)、どのフェーズか(未経験か経験者か)。
この3つを分けて見るだけで、ランキングの数字に振り回されなくなります。
人材業界の年収は事業形態でなぜここまで変わるのか

人材業界の年収格差は、努力の差より先に「事業形態の差」で決まっている部分が大きいです。
ここは報酬設計を組んできた側として、はっきり言える部分があります。年収を上げたいなら、まず事業形態を選ぶのが先です。
人材紹介は年収が上振れしやすい
人材紹介は利益率が高く、私の実感では15〜35%ほどあります。
売上が担当者個人の力に大きく左右される、いわゆる属人性の高いビジネスです。だから「決めた人にしっかり報いる」高インセンティブ設計が成立しやすく、年収が上に伸びます。
求人広告は年収が下がってきている
求人広告は、掲載課金から成果報酬型へ流れが変わり、競争が激しくなりました。
成果報酬型は「採用が決まった分だけ課金」なので、媒体に課金される前に他社や直接応募、リファラルで決まると売上が立ちません。広告主も費用対効果をシビアに見るようになり、担当者一人あたりの粗利が薄くなっています。粗利が薄いとインセンティブの原資も縮むので、構造として年収が上がりにくい。ここ数年で勢いが落ちた領域です。
HR Techは「資金調達の有無」で別物になる
HR Tech企業の年収は、資金を外から調達しているかどうかで大きく割れます。
自己資金中心の会社は人件費を抑えがちで、ベンチャーキャピタルから調達済みの会社は採用に投資できます。ただ、調達後に赤字を広げているだけの会社もあるので、伸びている事業かは別で見たほうがいい。
人材派遣は安定するが上がりにくい
人材派遣は、登録や採用のハードルが比較的低く、個人の能力差が売上に出にくい構造です。
そのぶん高年収インセンティブが働きにくく、年収は大きく跳ねません。代わりに安定はしやすい。安定を取るか、上振れを取るかの違いです。
企業規模・職種別の年収レンジ

同じ会社の中でも、就く職種で年収のレンジはかなり変わります。
目安を出しておきます。会社や領域で前後しますが、ざっくりこのあたりです。
| 職種・レイヤー | 年収レンジの目安 |
|---|
| 未経験スタート(初年度) | 300〜400万円 |
| 営業メンバー(CA・RA) | 450〜550万円 |
| 中堅(経験3〜5年) | 400〜600万円 |
| 企画・経営企画 | 700〜900万円 |
| 管理職 | 600〜1,000万円以上 |
| 特化型のトップ層 | 1,600万円以上 |
未経験で入ると初年度は300〜400万円台が中心で、ここだけ見ると「低いのでは」と感じるはずです。
ただ、育成体制のある会社なら2〜3年目で500〜600万円台が見えてきます。入口の数字ではなく、伸びしろの角度で見るのが正解です。
両面型CAと片面型CAでは年収の伸び方が違う
同じキャリアアドバイザーでも、求職者だけを担当する片面型と、企業開拓から入社支援までを1人で担う両面型では、年収の伸び方が変わります。
両面型は自分で売上を生み出している実感が強く、成果がそのままインセンティブに乗りやすいので、上限が外れやすい。片面型は分業で安定して経験を積めますが、1人あたりの粗利貢献が見えにくく、報酬の跳ね方は両面型に一歩譲ります。年収の角度で選ぶなら、両面型を経験できる環境のほうが伸ばしやすいです。

人材業界で「本当に稼げる会社」の見分け方

稼げるかどうかは、会社の知名度より「インセンティブの設計」で決まります。
代表的な2つの型と、上限の考え方を押さえておきましょう。
大手に多い「階段型」
階段型は、成約数に応じて報酬が段階的に上がる設計です。
固定給は高めで安定しますが、高額の報酬を取るには多くの成約が必要になります。手堅いぶん、爆発的には伸びにくい。
中小・特化型に多い「粗利型」
粗利型は、自分が生んだ粗利の何%、という形で報酬が決まります。
頑張りがそのまま年収に直結しますが、立ち上げフェーズは案件が不安定で、最初は収入が読みにくい。ハイリスク・ハイリターン寄りです。
エッセンシャルワーカー特化型は上限が外れやすい
介護・看護・物流・建設といったエッセンシャルワーカー領域の特化型は、グレード制で上限を設けていない会社があり、1,000万円超が出やすい環境です。
競合が大手ほど多くなく、業界知識も比較的短期間で身につく。穴場になりやすい領域です。
稼げる会社を選ぶ3つの確認ポイント
会社を選ぶときは、求人票や面接でこの3つを必ず確認してください。
- 年収の最低ライン(固定給)はいくらか
- 未経験を育てる体制があるか
- インセンティブに上限があるか
「上限なし」「育成あり」「最低ラインが生活できる水準」がそろう会社が、長く稼げる確率が高いです。
人材業界やCA職で年収を軸に会社を選ぶなら、ランキングの順位よりも、いま挙げた中身を見てほしいんです。
私たちが運営するアイジールジョブでは、CA経験者が、各社のインセンティブ設計や育成体制まで踏み込んで一緒に確認します。年収の上げ方から会社選びまで整理したくなったら、気軽に相談してください。
人材業界で年収が上がる人・上がらない人

同じ会社・同じ事業形態でも、年収が伸びる人と伸びない人に分かれます。
分かれ目は、意外にも能力よりも「姿勢」です。何人も育ててきて、ここはほぼ確信しています。
| 年収が上がる人 | 年収が上がりにくい人 |
|---|
| うまくいかない原因を自分側で探せる | 結果を環境や会社のせいにしがち |
| 助言を素直に試してみる | 前職や自己流のやり方に固執する |
| 泥臭い動きを面倒がらない | 受け身で、指示待ちになりやすい |
| やり方を状況に合わせて変えられる | 一度決めた型を変えたがらない |
能力やセンスは、後からいくらでも伸ばせます。
でも、自責で考えて素直に動ける人は、最初の伸び方からして違う。年収を上げたいなら、スキル磨きの前にこの姿勢を取りに行くほうが速いです。
AI時代に人材業界の年収はどう変わるか

これから年収は、AIに置き換えられる仕事をしているかどうかで二極化します。
人材業界も例外ではありません。
求人を右から左に流すだけ、日程を調整するだけ。こうした「御用聞き型」の動きは、AIに代替されて年収が下がっていきます。
逆に伸びるのは、求職者が言葉にできていない本音を引き出し、意思決定を後押しできる人です。ここは人にしかできない。AIに事務作業を任せ、空いた時間を面談の質に振り向けられる人が、これからの年収レースで前に出ます。
日経ダイヤモンドが出した人材業界の予測年収ランキングでも、領域や役割によって今後の年収見通しが大きく分かれると示されています(*4)。
「作業をこなす人」から「判断を支える人」へ。この移動ができるかどうかが、5年後の年収を分けます。
*4: 日経ダイヤモンド「コンサル・M&A・人材業界 3年後の予測年収35社ランキング【2026年版】」(有料会員限定)
人材業界の年収に関するFAQ

年収まわりでよく聞かれる疑問に、短く答えます。
A平均では高めです。
主要企業の平均年収は500〜540万円台で、全産業平均の478万円を上回ります。ただし業界内の振れ幅が大きく、300万円台から1,600万円超まで開くため、平均だけで判断しないことをおすすめします。
Q人材紹介と人材派遣では、どちらが年収は高いですか?
A上振れを狙うなら人材紹介です。
人材紹介は利益率が高く個人成果が報酬に反映されやすいため、上に伸びます。人材派遣は個人の能力差が出にくく、高年収インセンティブが働きにくいぶん、安定はしますが大きくは跳ねません。
Q未経験から人材業界に入ると年収はどのくらいですか?
A初年度は300〜400万円台が中心です。
入口の数字は控えめですが、育成体制のある会社なら2〜3年目で500〜600万円台が見えてきます。入口の額より、伸びしろの角度で会社を選んでください。
A領域と会社を選べば現実的です。
両面型で特定領域に強いCAや、エッセンシャルワーカー特化型でグレード上限のない会社なら、1,000万円超に届く人がいます。逆に、上限のある設計の会社では到達しにくくなります。
A「誰の・どの職種の・どのフェーズの平均か」を必ず分けて見ることです。
ランキングの数字は会社の全職種・トップ層を含む平均で、未経験CAの実態とは離れます。自分が就く職種の、そのフェーズの年収で比べてください。
【免責事項】
※本記事に記載の数値・事例は参考情報であり、個人の状況や転職先によって結果は異なります。転職の意思決定は、ご自身の状況を踏まえた上でご判断ください。