面談を終えてやっと一息ついたのに、頭の中では明日の数字のことを考えている。CA(キャリアアドバイザー)として働いていると、こういう「つらい」「きつい」「これは激務だ」と感じる瞬間が、ふいにやってきます。
先に言っておくと、そのしんどさはあなたの弱さのせいではありません。CAのつらさには起きやすい場面とピークの時期があって、その多くは対処の順番を変えるだけで軽くなります。ただし、気合いではなく環境ごと変えたほうが早いものもあります。
この記事は、人材紹介の会社を3社立ち上げてCAの組織を見てきた経験をもとに、つらさの正体と対処法、続けるか辞めるかの判断軸を、転職を勧める前提を置かずに整理したものです。
監修者
株式会社アイジール 代表
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の転職エージェント事業を運営。

キャリアアドバイザーがつらい・きつい・激務と言われる理由

CA、つまり転職エージェントの担当者の仕事がつらい・きついと言われる一番の理由は、自分の努力だけでは結果を決めきれないところにあります。
厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査では、仕事で強いストレスを感じている労働者は68.3%、原因の1位が「仕事の量」43.2%、2位が「仕事の失敗・責任の発生」36.2%でした(*1)。CAはこの両方を、ほぼ毎日のように抱えます。
| つらさの正体 | 現場で実際に起きていること |
|---|
| ノルマと数字のプレッシャー | 成約が出るまで、責任だけが先に積み上がる |
| 感情労働の消耗 | 求職者の不安や落胆を受け止め続け、感情がすり減っていく |
| 残業が避けられない構造 | 在職中の人に合わせ、面談が夜や土日に寄っていく |
| 音信不通・内定辞退 | 準備した時間が無駄になり、自責だけが残る |
| 求職者と企業の板挟み | 相反する要望のあいだで、どちらの信頼も失えない |
感情労働については、対人援助職の感情労働とバーンアウト(燃え尽き)の関連が研究でも指摘されています(*2)。
「最近やけにしんどい」「メンタルが削られてる気がする」。それは気合いの問題ではなく、職種の構造から来ています。激務に見えるCAの仕事は、これらが一度に重なったときが一番きつい。逆に言えば、重なりをずらせば軽くできます。
*1: 厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」
*2: 大阪大学リポジトリ「対人援助職におけるバーンアウト・感情労働の関係性」
キャリアアドバイザーのつらさ・きつさのピークはいつ来るか

CAのつらさは、ずっと同じ強さでは続きません。山が来やすい時期があります。
今が一番しんどい時期だと分かるだけでも、ずいぶん楽になります。
入社1〜3ヶ月の「成果ゼロ期」
未経験で入った場合、初回面談から最初の成約までは、ホワイトカラー系で3〜5ヶ月、スピード重視のブルーカラー系で1〜3ヶ月くらいかかります。
このあいだは数字だけが先に追いかけてくる。手応えゼロのまま、責任だけが積み上がる空白期間です。
新人が「辞めたい」と口にするタイミングは、だいたい決まっています。入社して2〜4ヶ月目。何人も見てきました。
ただ、ここを越えて最初の1件が決まると、表情が変わる人が多い。最初の成約は、多くのCAにとっての分かれ目になります。
転職繁忙期(1〜3月)の多重ストレス
年明けから年度替わりは、求職者の動きが平常月の1.5〜2倍に増えます。
面談、推薦、選考調整が一気に重なって、残業も伸びる。逆に閑散期は落ち着くので、つらさには波があると思っておくと身構えられます。
入社直後の成果ゼロ期と繁忙期は、誰にとっても山場です。
今の苦しさが一時的な波なのか、ずっと続く慢性的なものなのか。ここを切り分けると、判断を誤りにくくなります。
あなたのつらさはどのタイプか

つらいと一口に言っても、原因が違えば効く手当ても変わります。
まず、自分のしんどさがどれに近いかを見てください。複数あてはまるなら、一番強いものから手をつけます。
- 数字系:ノルマや成約のプレッシャーで苦しい
- 感情消耗系:求職者の感情を受け止めすぎて疲れている
- 音信不通系:辞退や連絡途絶のダメージが抜けない
- 職場環境系:上司・評価制度・社内の空気がしんどい
タイプが分かると、次の対処法のどこを先に読めばいいかがはっきりします。
「全部しんどい」というときほど、一番強い1つに絞る。これが回復の近道です。
同じキャリアアドバイザーでも激務の質は会社タイプで変わる

見落とされがちなのですが、CAの激務やつらさは「CAという仕事そのもの」だけで決まりません。どんな会社で働くかで、質がまるごと変わります。
今がしんどいとき、職種ごと辞める前に、会社タイプを変えるだけでつらさの種類が変わる可能性を知っておいてほしいんです。
| 会社タイプ | 激務・つらさの質 | 向きやすい人 |
|---|
| 大手・片面型 | 求職者対応に専念できるが、夜間・土日対応や組織の非効率が出やすい | 型を学びたい・安定を重視したい人 |
| 中小・両面型 | 企業対応と求職者対応を1人で担い、板挟みと業務の幅が重い | 裁量を持ちたい・一気通貫で経験したい人 |
| ブルーカラー特化型 | スピードと件数重視で体力的にきつく、辞退や早期離職が重なりやすい | テンポよく数をこなすのが苦でない人 |
夜のコールが多い業界から、日中に動ける業界へ移っただけで退勤時間が一気に早まった。そういう人を実際に何人も見ています。
「キャリアアドバイザーがつらい」と「今のCA環境がつらい」は、別の話です。職種を手放す前に、原因が会社側にないかを一度疑ってみてください。
会社選びで迷ったら、求人票の文字だけで決めないことです。担当範囲や評価制度まで見ないと、入社後の働き方は読めません。
私たちが運営するアイジールジョブでは、CA経験者が会社ごとのつらさの質や、面接で何を確認すべきかまで一緒に整理します。今の環境を変えるか迷っているなら、一度ぶつけてみてください。

つらい・きついと感じたときの状況別の対処法

対処はタイプ別に試すのが早いです。
全部やろうとしなくていい。自分のタイプに合うものを1つ選ぶだけで十分です。
数字が出ないとき
数字が出ない時期は、結果ではなく自分で動かせる行動量に意識を戻します。面談の数です。
そのうえで、「言われた求人をそのまま渡す御用聞き」から「相手の不安を解く側」へ立ち位置を変える。これで成約の質が上がります。分からないことは、先輩に1問だけ具体的に聞くのが結局いちばん速い。
音信不通・感情消耗がつらいとき
音信不通の大半は外側の事情で起きます。あなたの力不足ではありません。
1日に1人だけ深追いをやめる。面談後は通知をオフにする時間を作る。この小さな線引きが効きます。共感はしても、感情移入はしすぎない。この距離感が、長く続けるコツです。
板挟み・職場環境がつらいとき
板挟みは、自社・求職者・企業の三者が少しずつ得をする方向を探すと、迷いが減ります。
おすすめは、自分の責任と会社の責任を2つずつ紙に書き出すこと。これだけで、過度な自責と他責の両方から距離が取れて、事実と感情が分けられます。職場そのものがつらいときは、同じ環境で成果を出している人が社内にいるかを見てください。誰もいないなら、それは個人ではなく環境の問題かもしれません。
繁忙期に備えて閑散期に積み上げる
繁忙期のしんどさは、閑散期の使い方でだいぶ変わります。
落ち着いている時期に、既存の求職者との関係を深め、求人の中身を頭に入れ、業務の流れを整理しておく。山場の消耗を、前もって削っておくイメージです。
頑張りすぎるキャリアアドバイザーほどハマる落とし穴

真面目な人ほど、次の考え方で自分を追い込みます。
あてはまるものがあっても、まずは「自分はこの癖がある」と気づくだけで十分です。
- 結果のぜんぶを自分のせいだと抱え込む
- 逆に、ぜんぶ会社のせいにして思考が止まる
- 「もう少し頑張れば変わる」と、期限を決めずに待ち続ける
- 休むことに罪悪感を持ち続ける
- 誰にも言わず、一人で抱え込む
自責でも他責でもなく、「自分で変えられる部分」だけに力を注ぐ。この状態が、いちばん消耗が少ない。

つらい・激務でも続けられる理由|キャリアアドバイザーのやりがい

ここまでしんどい話ばかり書きましたが、CAはつらい・激務なだけの仕事ではありません。
きつさの裏側に、他の職種では味わいにくい手応えがあります。両方を並べたうえで判断してほしい。
人の人生の転機に立ち会える
CAは、誰かの転職という人生の節目に伴走します。
担当した人の年収や働き方が変わって、その先の生活まで良くなったと聞いたとき、数字には出てこない手応えが残ります。ここはやってみないと分からない部分です。
営業・交渉・ヒアリングのスキルが速く身につく
現場では、傾聴・提案・交渉・数値管理を同時に鍛えられます。
1〜2年で、他職種なら3〜5年かかる営業経験に近いものが積めることもある。身につくスキルの汎用性は、かなり高いです。
成果がインセンティブで年収に反映される
成果型の会社なら、決定数に応じてインセンティブが乗ります。
経験3〜5年で年収400〜600万円、ハイパフォーマーだと600〜1,000万円超に届く人もいます。ただ、未経験の初年度は300〜400万円台が中心。激務だから高年収、とは限りません。ここは正直に書いておきます。
つらさだけ、やりがいだけを見ると判断を誤ります。
どんなしんどさがあって、その先に何が手に入るのか。両方並べて、自分にとって割に合うかで考えてみてください。
キャリアアドバイザーに向いている人・向いていない人

CA、つまり転職エージェントの担当者への向き不向きは、性格よりも「どんな場面でストレスを感じにくいか」で決まります。
しかも固定ではありません。経験で埋まる部分と、人として合うかどうかの部分があります。
| 向いている人 | 向いていない可能性がある人 |
|---|
| 相手の話を急いで結論づけず、背景まで聞ける | 数字を追うこと自体が根本的に苦痛 |
| 結果を自分と会社で切り分けて考えられる | 他責思考が強く、改善に向かいにくい |
| 三者のバランスを意識して動ける | 感情労働で受けたストレスが抜けない |
スキル不足は経験で埋まります。でも、仕事の根っこが自分に合わないと感じるなら、早めに道を変えるのも立派な判断です。
「向いてないかも」と思うこと自体は、あなたの価値を一ミリも下げません。
つらくて限界なら、どう動くか

対処を試してもつらさが抜けないなら、気合いで乗り切ろうとしないでください。
順番があります。
まず休む
有給を使ってでも、一度休んで回復を優先します。
休んでも戻らない、前月よりはっきり悪化している、メンタルの不調が続く。これは放置してはいけないサインです。
相談する
社内の上司、社外の知人、必要なら専門の窓口。複数のルートに話してください。
一人で抱え込むと、視野がどんどん狭くなります。
環境を変える準備を始める
休んでも相談しても変わらないなら、環境を変える準備に入ります。
さっき書いたとおり、同じCAでも会社タイプを変えるだけでつらさの質は変わる。職種ごと辞める前に、社内異動や同業転職も選択肢に入れてみてください。
キャリアアドバイザーを辞めた後の選択肢

辞めるという選択をしても、CAで培ったものは無駄になりません。むしろ市場での評価は高いです。
身についたヒアリング力・提案力・交渉力・数値感覚は、人事・採用、インサイドセールス、SaaS営業、コンサルタントなど、いろんな職種で歓迎されます。
人材紹介の市場自体も伸びています。矢野経済研究所の調査では、2024年度の人材紹介業の市場規模は4,490億円、前年度比12.0%増でした(*3)。
別領域のキャリアアドバイザーへ移って続ける、という手もあります。「辞める=失敗」ではない。続けるのも、別の職種へ動くのも、どちらも前向きな決断になり得ます。
*3: 矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査(2025年)」
次のキャリアやCA経験の活かし方で迷ったら、ここでも判断材料は求人票の外にあります。担当範囲や評価制度まで見て決めたい。
アイジールジョブでは、CA経験者が、転職するかどうかも含めてフラットに相談に乗ります。今後を整理したくなったら、気軽に声をかけてください。
キャリアアドバイザーのつらさに関するFAQ

CA・転職エージェントのつらさ・きつさについて、よく聞かれる疑問に短く答えます。
Qキャリアアドバイザーはなぜつらいと言われるのですか?
A成果が出るまで責任だけが先に積み上がること、求職者の感情を受け止め続ける感情労働、夜間・土日に面談が寄る働き方。これらが重なるからです。
どれも自分の努力だけでは結果を決めきれない構造で、気合いの問題ではありません。
Aきつい面はありますが、得られるものも大きい仕事です。
ノルマや内定辞退のダメージはきつい。その一方で、人の転機に立ち会えるやりがいや、営業・交渉スキルが速く身につく利点があります。きつさと手応えを両方見て判断してください。
Qキャリアアドバイザーの残業時間はどのくらいですか?
A会社や時期で差が大きく、ふだんは月20〜40時間程度、繁忙期は60〜80時間近くまで伸びることもあります。
パーソルキャリアの回答データでは平均残業時間は月28.9時間、40〜59時間の層が35.6%でした(*4)。求人票の数字だけでなく、夜間・土日対応の有無まで確認すると実態が見えます。
Qつらくて辞めたいです。何ヶ月続ければいいですか?
A正解はありませんが、未経験なら初成約を一度経験できる3〜5ヶ月までは判断を保留する人が多いです。
ただし、休んでも回復しない、前月より明らかに悪化しているなら、期間にこだわらず休養と相談を先にしてください。
Q激務でもキャリアアドバイザーは年収が高いですか?
A必ずしも比例しません。
未経験の初年度は300〜400万円台が中心で、激務イコール高収入ではありません。一方で成果型の会社なら、経験を積むほどインセンティブが伸び、ハイパフォーマーは600〜1,000万円超に届くこともあります。