人材紹介の両面型とは、求職者への転職支援と企業への採用提案を1人の担当者が一貫して担うスタイルです。
マッチング精度の高さや年収の上がりやすさで注目される一方、業務の種類の多さや「板挟み」ストレスを語る人も少なくありません。
この記事では、人材紹介会社3社の立ち上げに携わってきた経験をもとに、両面型の実態・メリット・きつさ・向き不向きを、働く側と使う側の両方の視点から解説します。

人材紹介の両面型とは、求職者への転職支援と企業への採用提案を1人の担当者が一貫して担うスタイルです。
マッチング精度の高さや年収の上がりやすさで注目される一方、業務の種類の多さや「板挟み」ストレスを語る人も少なくありません。
この記事では、人材紹介会社3社の立ち上げに携わってきた経験をもとに、両面型の実態・メリット・きつさ・向き不向きを、働く側と使う側の両方の視点から解説します。

監修者
株式会社アイジール 代表
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の転職エージェント事業を運営。

両面型とは、求職者への転職支援と企業への採用営業を、1人の担当者が一貫して担う人材紹介のスタイルです。
大手エージェントに多い分業型(片面型)では、求職者対応を担うCA(キャリアアドバイザー)と、企業開拓・採用折衝を担うRA(リクルーティングアドバイザー)が別々に存在します。
一方、両面型では求人開拓から求職者の入社まで、すべてのプロセスを1人がカバー。
「一気通貫型」とも呼ばれ、中小・業界特化型の人材紹介会社で多く採用されているスタイルです。
矢野経済研究所の調査によると、2024年度のホワイトカラー職種の人材紹介業市場は4,490億円(前年度比12.0%増)に達しており、市場が拡大する中できめ細かい対応が武器になる両面型のニーズも高まっています(*1)。
厚生労働省の集計では、令和6年度の有料職業紹介事業所数は30,561事業所という規模です(*2)。
これだけ多くのプレイヤーがいる中で、各社はスタイル(両面型か片面型か)と専門領域(業界特化か総合型か)を打ち出すことで差別化を図っています。
RA(リクルーティングアドバイザー)は採用企業側を担当し、求人開拓・採用要件のヒアリング・候補者の推薦・条件交渉を担います。
両面型はこの2つの役割を1人の担当者が兼務します。
*1: 矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査を実施(2025年)」
*2: 厚生労働省「職業紹介事業の事業報告の集計結果(令和6年度)」
片面型(分業型)では、CAとRAが専業で分かれているため、それぞれの担当領域に集中できます。
求職者対応に特化したCA職は、1日あたり多くの面談をこなしながら、書類添削・面接対策に深く関われる のが片面型の特徴です。
一方、両面型の担当者は「今日は企業訪問、夕方は求職者との面談」という日程が当たり前になります。
求職者と向き合う時間と企業との折衝時間の両方を自分でコントロールしながら動く必要があるため、スケジュール管理の難度は片面型より上がります。
両面型が「一気通貫型」と呼ばれるのは、求人の獲得から候補者の入社決定まで、1人が全プロセスをつなぎきるためです。
採用企業の「なぜ今採用しているのか」という背景を直接知った上で求職者に提案できるため、マッチングの文脈が圧倒的に太くなります。
CA・RAが分業している場合、一次情報が伝言を経て薄まることがありますが、両面型ではそのロスがなく、企業の生の情報をそのまま求職者に届けられます。
実際に人材紹介の現場で感じてきたのは、求職者が選考に進む意欲を持てるかどうかは「この会社、なぜ今採用しているのか」という理由への納得感と深く関係しているということです。
その情報を一次情報で持っている担当者からの提案は、求職者にとっての説得力が違います。

両面型と片面型の最大の違いは情報の一次性です。
両面型の担当者は企業の採用担当者と直接やりとりしているため、求人票には書かれていない採用背景や職場の実態を持っています。
一方、片面型は専門性を深めやすく、より多くの求人を扱えます。
どちらが優れているというわけではなく、それぞれに適した場面と会社規模があるのが実態です。
| 比較項目 | 両面型 | 片面型(分業型) |
|---|---|---|
| 担当者の役割 | 求職者対応+企業営業を1人で兼務 | CA・RAが別々に専業担当 |
| 情報の一次性 | 採用背景・職場実態を直接把握 | RAからの情報共有を経由 |
| マッチング精度 | 高い(一次情報ベースの提案) | RAとCAの連携精度に依存 |
| 扱える求人・担当数 | 少なめ(1人あたりのキャパ制約) | 多め(専業で大量件数を担当可) |
| 多い会社の規模・種類 | 中小・業界特化型エージェント | 大手・総合型エージェント |
働く側として選ぶなら、独立・エージェント立ち上げを将来の選択肢に入れているなら両面型の経験が直接活きます。
求職者が面接でミスマッチを感じる瞬間の多くは、「聞いていた話と違った」という場面から始まります。
採用担当者と直接やりとりしている両面型の担当者は、面接前に「この会社はこういう雰囲気で、今の採用はこういう背景がある」と具体的に伝えられます。
片面型の場合、RAが企業から得た情報をCAに共有し、CAが求職者に伝えるため、情報が薄まったり温度感が変わったりするリスクがあります。
一次情報が直接つながる両面型でマッチング精度が高くなりやすいのは、この構造の必然的な結果です。
両面型は1人が企業対応も求職者対応も担うため、物理的に抱えられる求人数・担当者数に限りがあります。
片面型であれば、CA専業として月40〜50名の求職者を担当できる会社も珍しくありませんが、両面型では20〜30名程度が現実的な上限になるケースが多いです。
ただし、件数よりも深さでサポートできることが、求職者にとっての価値になります。
「たくさんの選択肢から選びたい」よりも「この担当者に深く向き合ってほしい」という求職者に、両面型は向いています。
大手の総合型人材紹介会社では、業務効率化のため分業型(片面型)を採用しているケースが多い傾向があります。
一方、医療・物流・介護・エッセンシャルワーカー系などの業界特化型や中小のブティック系エージェントでは、企業との関係を深く築くために両面型スタイルを採用する会社が目立ちます。
各社の方針は常に変化するため一概には言えませんが、「両面型で働きたい」という場合、特化型・中小エージェントへの転職が選択肢として有力になることが多いです。
人材紹介業界への転職を考えている方にとって、両面型か片面型かの選択は将来のキャリアパスにも関わる大切な判断です。
CA専門のアイジールジョブでは、CA業界を深く知る経験者が担当として対応し、業界の内情を含めてフラットに相談できる環境を整えています。
どちらのスタイルが自分に合うか迷っている方は、ぜひ一度アイジールジョブへ相談してみてください。

両面型で働く最大のメリットは、企業と求職者の両方から信頼を得る経験が積めることです。
企業の採用戦略と求職者の転職意思決定を両方手がけることで、将来の独立やエージェント立ち上げに直結するスキルが身につきます。
片面型のCA・RA経験だけでは、事業の全体像を体感しにくい部分があるのも現実です。
両面型で働くことで得られる最も大きな武器は、企業の「生の情報」です。
採用担当者と直接関係を築き、「なぜ今この求人があるのか」「どんな人と一緒に働きたいと思っているのか」「どんな人が活躍していて、どんな人が合わなかったのか」を直接聞くことができます。
この一次情報は求職者への提案の説得力を格段に上げ、最終的に双方の満足度につながります。
面接対策でも「この企業は〇〇を重視するから」という根拠ある指導ができるため、選考通過率が上がりやすくなります。
片面型のCA職では、こういった企業の実情はRAを通じてしか入手できないため、情報の深さに差が出やすいです。
複数社の立ち上げを通じて感じてきたことですが、独立して人材紹介事業を起こす際に最も戸惑うのが「企業営業の経験不足」です。
CA専業で5年働いてきた方が独立を考えるとき、求職者対応は問題なくこなせても、企業開拓・関係構築・採用要件のすり合わせという経験が抜けているケースが少なくありません。
両面型として働くことは、企業営業と求職者対応の両面を同時に積む経験になるため、独立を視野に入れている方には特に価値があります。
事業全体を1人で回す感覚を早い段階から持てることが、将来の選択肢を広げます。
片面型のCA・RA経験は確かに深いですが、それはあくまで業務の「半分」です。
「両面型の方が年収が高くなりやすい」と言われる背景には、シンプルな構造的な理由があります。
片面型では「CA1名+RA1名」の2名体制で1件の成約を作ります。
両面型では担当者1名で完結するため、会社としてRA相当の人件費が不要になります。
この人件費分を担当者への還元(インセンティブ・固定給)に回しやすい設計が可能になるため、同じ売上規模でも1人あたりの取り分が大きくなりやすい構造です。
ただし、実際に還元されるかどうかは会社のインセンティブ設計次第で大きく変わります。
「両面型だから年収が高い」とは限らず、粗利連動型のインセンティブ設計があって初めて恩恵を受けられます。
業界特化型(エッセンシャルワーカー系・医療・物流など)と両面型を組み合わせると、件数が積みやすくインセンティブが連動しやすい構造が重なります。
年収を上げやすい環境になりやすい傾向がありますが、実際は会社のインセンティブ設計や個人のパフォーマンスによって異なります。
マイナビ転職の調査によると、人材コーディネーター職の年収目安は572万円(2025年版)とされており、会社規模・担当領域・スタイルによって幅があります(*3)。
*3: マイナビ転職「職種別モデル年収ランキング(2025年版)」

両面型のきつさとして最もリアルなのは「板挟み」感覚です。
企業から早く候補者を出してほしいというプレッシャーと、求職者が選考を進めるか迷っている状況が同時に発生する場面は、片面型では経験しない固有のストレスです。
ただし、この板挟みを乗り越えた先には、片面型では得にくい達成感と独自のスキルも。
両面型の担当者が感じる最も固有のストレスは、企業サイドと求職者サイドから同時にプレッシャーを受ける状況です。
企業側から「この求人、早めに人を決めたい」というプレッシャーがかかっているタイミングに、担当求職者が「もう少し考えたい」と言い始める。
こういう場面は、両面型をやっていれば必ず経験する瞬間です。
片面型のCA職なら「企業側の事情はRAに任せる」と割り切れますが、両面型ではどちらの立場も自分が担うため、ジレンマが直接ぶつかります。
正直なところ、現場の感覚としては、このストレスに慣れるまでに3〜6ヶ月程度はかかることが多いです。
どちらの信頼も失わないように動く経験を積む中で、交渉力と状況判断力が磨かれていきます。
片面型と比べたとき、両面型で増えるのは「労働時間」よりも「業務の種類」です。
CAとRAの両方を担うため、同じ1日の中で性質のまったく異なる業務を切り替えながらこなす必要があります。
「午前は企業訪問・昼は書類対応・午後は求職者面談・夕方は採用担当者へのフォローアップ」というように、業務を分刻みでスケジューリングして動く日常感覚が求められます。
「次の業務へ切り替え続ける」密度の高さが、片面型では経験しない両面型固有のきつさです。
最初の3〜4ヶ月は「今どちらを優先すべきか」という判断の繰り返しになり、消耗感を感じやすい時期です。
1年目の中盤以降、最初の成約が出て手応えを掴み始めると、業務の見通しが立つようになり状況が大きく変わります。
両面型ならではのきつさを乗り越えた人が口をそろえて言うのが、「企業と求職者の双方から感謝される」体験の重さです。
転職が成功したとき、採用企業の担当者からも「ちょうど求めていた人材でした」と言われ、求職者からも「あなたに担当してもらえてよかった」と言われる。
この二重の達成感は、分業型では味わいにくい両面型ならではの経験です。
人の人生の転機に深く関わり、「自分がこの成功を作った」という実感を持ちやすいのが、両面型の最大のやりがいと言えます。
きつさと充実感は表裏一体であり、向いている人にとっては「だからこそ続けられる」仕事になります。
両面型のきつさは事実ですが、それはすべての人材紹介会社に当てはまるわけではありません。
担当件数の設計や会社のサポート体制によって、働き方の重さは大きく変わります。
人材紹介業界への転職を考えているなら、CA業界を知り尽くした経験者が対応するアイジールジョブへ、ぜひ一度ご相談ください。

両面型に向いているのは、複数の人間関係をマルチタスクで管理できる人と、将来的に独立やエージェント立ち上げを考えている人です。
逆に、特定領域の専門知識を深めることに集中したい人や、大量の求人から最適なものを提案したい人は片面型の方が力を発揮しやすいケースが多いでしょう。
どちらが優劣ではなく、自分の仕事スタイルと将来の方向性で判断することが重要です。
以下のような特徴を持つ方は、両面型で高いパフォーマンスを発揮しやすい傾向があります。
複数の人間関係を同時進行で管理できる:企業担当者と求職者の両方と関係を維持しながら動ける
自責思考で行動できる:うまくいかない状況でも「どうすれば改善できるか」を自分に向けて考えられる
新しい環境や方法に柔軟に適応できる:企業ごとに採用要件が異なり、求職者ごとに転職の事情が違う中で切り替えられる
将来的に独立・事業立ち上げを考えている:事業全体を動かす経験値が直接必要になる
「人のキャリア相談に深く向き合いたい、面接対策を丁寧にしたい」という方は、CA専業の片面型の方が強みを活かしやすい可能性があります。
片面型が向いている方の特徴としては、以下のようなパターンが挙げられます。
特定業界・職種の深い専門知識を時間をかけて積み上げたい
企業営業よりも求職者のキャリアカウンセリングに集中したい
ワークライフバランスを意識しながら安定的に働きたい
大手エージェントの豊富な求人数の中から提案したい
「両面型より片面型の方が楽」というわけでもなく、どちらもそれぞれのプレッシャーがあります。
あくまで「自分がどちらの役割に充実感を感じるか」で判断することをおすすめします。
両面型の会社への転職・就職を検討する際は、事前に以下の3点を確認することをおすすめします。
<確認事項①:インセンティブが発生する最低ラインの低さ>
成約件数が少ないうちでもインセンティブが発生する設計かどうかを確認します。
「月3件以上の成約でインセンティブ発生」のような低めのラインが設定されている会社は、早期に収入が上がりやすい傾向があります。
<確認事項②:育成体制と慣れるまでのサポート>
両面型は覚えることが多い分、入社後の育成体制の充実度が定着率に直結します。
最初の3〜6ヶ月のサポートがどれだけ手厚いかを、面接時に具体的に確認することが重要です。
<確認事項③:担当する領域(業界特化か総合型か)>
特化型(エッセンシャルワーカー・医療・物流など)の両面型は件数が積みやすく業界知識を早く深められる一方、総合型の両面型は幅広い業界経験を積める特徴があります。
自分のキャリアイメージに合う領域を選ぶことで、両面型の強みをより早く活かせるようになります。
特に「インセンティブが発生するまでの期間」と「育成体制の充実度」はセットで評価することをおすすめします。

求職者として両面型エージェントを使う最大のメリットは、担当者が採用企業の採用担当者と直接話しているため、求人票に書かれていない採用背景や現場の実態を教えてもらえる点です。
面接のアドバイスが一次情報ベースで具体的になります。
ただし、1人の担当者が抱えられるキャパに限りがあるため、提案される求人数は片面型より少ない傾向がある点も知っておきましょう。
採用する側の視点で言うと、求職者が面接に臨む前に持っている「この会社の採用背景への理解度」は、選考結果に大きく影響します。
なぜ今その会社がこのポジションを採用しているのか、現場でどんなスキルを求めているのか、どんなカルチャーの会社なのか。
両面型の担当者はこれらを採用担当者から直接聞いているため、求職者への説明が具体的かつ信頼度の高いものになります。
「求人票に書いてあること以上の情報を教えてもらえた」という体験ができるのが、両面型エージェントを使う最大の価値です。
面接前のアドバイスも「この会社はこういう質問をする傾向があります」「採用担当者が特に重視しているのはここです」と一次情報ベースで受けられるため、対策の精度が上がります。
「どちらが良いか」ではなく、「目的に応じて使い分ける」という視点が実は有効です。
転職活動で両面型エージェントが特に力を発揮するのは、以下のような場面です。
転職したい業界・職種がある程度絞れており、特定領域を深く探したい
面接対策を丁寧にサポートしてほしい
採用企業の実態(社風・雰囲気・採用背景)を詳しく知りたい
一方、以下のような場合は片面型の大手エージェントが向いているケースがあります。
まだどの業界・職種に転職するかを広く検討したい
できるだけ多くの求人を比較して決めたい
短期間で幅広い情報収集をしたい
「一社だけに絞らず、両面型と片面型を並行して使う」という選び方も有効です。
「幅広く見たい段階」では片面型の大手も並行して使い、「この業界・職種に絞れた段階」で両面型に深く相談するという使い方が実際には効果的です。
CA職への転職を具体的に考えている方には、CA専門のアイジールジョブがサポートします。
CA経験者が担当として対応し、CA業界の内情も含めてフラットに相談できる環境を整えています。
担当件数を少なく絞った運営スタイルで、一人ひとりの転職に深く向き合います。
CA職への転職を考えている方は、ぜひ一度アイジールジョブへご相談ください。

両面型と分業型(片面型)はどちらがいいですか?
両面型のキャリアアドバイザーは年収が高くなりやすいですか?
両面型のエージェントはどうやって探せばいいですか?
未経験から両面型のキャリアアドバイザーになれますか?
片面型(キャリアアドバイザー専業)から両面型の会社への転職は難しいですか?
【免責事項】
※本記事に記載の数値・事例は参考情報であり、個人の状況や転職先によって結果は異なります。転職の意思決定は、ご自身の状況を踏まえた上でご判断ください。
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監修者
株式会社アイジール 代表取締役
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の人材紹介事業を運営しております。