「人材業界は利益率が高い」とよく耳にしますが、実際の数字はどれくらいなのでしょうか。
結論から言えば、業態によって利益率はまったく異なります。
人材紹介業は平均20%前後と高水準である一方、人材派遣業は1〜5%程度と低くなる構造です。
同じ「人材業界」でも、ビジネスモデルが違えば収益構造は別物です。
この記事では、業態別の利益率の違いとその背景にある仕組みを解説します。
また「利益率20%」が現実にならないケースも含め、人材紹介会社を3社立ち上げてきた経験から、数字だけでは見えない実態もお伝えします。
監修者
株式会社アイジール 代表
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の転職エージェント事業を運営。
人材業界の利益率はどれくらいか(業態別一覧)

人材業界の利益率は業態によって大きく異なります。
著者の経験からすると、人材紹介業の利益率は平均20%前後が目安とされており、製造業の約4%や不動産業の約10%を大幅に上回る水準です。
一方、人材派遣業は派遣スタッフの給与が売上原価として発生するため、実際の営業利益率は1〜5%程度にとどまるのが一般的でしょう。
まず、業態別の利益率を一覧で確認しましょう。
| 業態 | 平均営業利益率 | 主なコスト構造 |
|---|
| 人材紹介 | 約20%前後 | 売上原価なし(人件費・広告費のみ) |
| 求人広告・HRテック | 約20%台 | 低い(媒体運営・システム費) |
| 人材派遣 | 1〜5%程度 | 高い(派遣スタッフの賃金が原価) |
| 不動産業 | 約10% | 中程度 |
| 製造業 | 約4% | 高い(材料費・製造費) |
同じ「人材業界」でも業態によって利益率が10倍以上開く場合があります。「人材業界は儲かる」という印象の多くは、人材紹介や求人広告系の数字に基づいているため、派遣主体の会社とは分けて考えることが必要です。
人材紹介業の利益率(約20%前後)
人材会社を複数社立ち上げてきた著者の感覚からすると、人材紹介業(有料職業紹介事業)の営業利益率は、一般的に20%前後です。
これは、求人企業と求職者をマッチングした際の紹介手数料が唯一の収益源であり、商品の仕入れや製造に関わる売上原価が一切発生しないためです。
主なコストは人件費(CA:キャリアアドバイザーや営業担当の給与)と広告宣伝費(求職者・求人の獲得費用)で構成されます。
安定的に20%を実現している会社もあれば、規模や広告費の効率によっては10%を下回る会社もあります。
「利益率20%」は業界の目安として認識しておくのが適切でしょう。
人材派遣業の利益率(1〜5%程度)
著者の感覚からすると、人材派遣業の営業利益率は、実際には1〜5%程度と低い水準です。
派遣業では、表面上の数字だけを見ると利益が厚く見えやすいのですが、厚生労働省も示している通り、いわゆるマージンには派遣会社の利益だけでなく、社会保険料や教育訓練費なども含まれます。
そのため、派遣スタッフへの賃金・社会保険料(会社負担分)・有給休暇費用・採用広告費などを差し引くと、手元に残る利益は大きく圧縮されます。
派遣会社の売上の多くが派遣スタッフへの賃金として支払われるため、これが利益率の低さの主因です。
マージン率が高いからといって、派遣会社の利益率が高いわけではありません。
見かけの数字と実態の差を理解しておくことが重要です。
*1 :厚生労働省「派遣会社のマージン率等について」
求人広告・HRテック系の利益率(20%台)
求人広告やHRテック(人事・採用支援システム)を手がける企業の営業利益率は、ネット主体の事業者で20%台が多い傾向があります。
求人広告は求人枠を掲載するだけで収益が生まれ、仕入れコストが低いため高利益構造になりやすい特徴があります。
ただし、リクルートHDやパーソルHDのような大手は人材派遣事業を含むため、全体の利益率は5〜6%台に下がります。
事業の「構成比」によって会社全体の利益率は大きく変わります。
同じ社名でも、グループ内の事業構成で利益率は別物になることを覚えておきましょう。
業態によって利益率がこれほど違う理由

人材業界の業態別利益率の差は、「売上原価の有無」で決まります。
人材紹介は求職者と企業のマッチングを行うだけで収益が発生し、商品の仕入れや製造コストが一切かかりません。
一方、人材派遣では売上の70%前後が派遣スタッフへの給与として支払われるため、構造的に利益率が低くなります。
人材紹介が高利益な理由(売上原価ゼロの仕組み)
人材紹介のビジネスモデルは、「仲介による成功報酬型」です。
求職者を企業に紹介し、採用が決まった時点で初めて手数料が発生します。
この仕組みには、売上原価が存在しません。
製造業であれば材料費・製造費、不動産業であれば物件の仕入れコストが発生します。しかし、人材紹介では「人と人をつなぐ」という無形のサービスであるため、直接的な原価がゼロです。
利益計算の式はシンプルで、「売上(紹介手数料)- 販売管理費(人件費+広告費+家賃等)= 営業利益」になります。
販管費さえコントロールできれば、高い利益率を維持しやすい構造になっています。
人材派遣の利益率が低い理由(賃金が売上原価になる)
人材派遣は、一見すると「人材紹介と同じ人材ビジネス」に見えますが、収益構造はまったく異なります。
派遣会社は、派遣スタッフを「自社の従業員として雇用」したうえで、クライアント企業に送り出します。
この仕組みでは、派遣スタッフへの給与・社会保険料・有給休暇費用などが全て派遣会社の「売上原価」として計上されるのが特徴です。
売上の70%前後が原価として消えた残り30%(マージン率)から、さらに採用広告費・オフィス費・人件費などを差し引くと、最終的な営業利益率は1〜5%程度にとどまります。
「マージン率が高い派遣会社は儲けすぎではないか」という議論もありますが、実際の利益率は見かけより大幅に低いのが実態です。
求職者の転職活動を支援する人材紹介会社の担当者。求職者のヒアリング・求人提案・面接対策・条件交渉などを一貫して担当します。人材紹介会社では「CA」と略称されることが多く、企業側の営業担当「RA(リクルーティングアドバイザー)」と連携して成約を目指します。
求人広告の利益構造
求人広告系企業は、求人掲載枠の販売が主な収益源です。
掲載枠は一度作れば追加コストが低いため、利用企業数が増えるほど利益率が高まる構造を持っています。
近年はAIを活用した採用効果分析機能や、月額課金型のシステムサービスとセットで販売するケースも増え、安定した収益モデルへの転換が進んでいます。
ネット主体のSaaS(サービスとしてのソフトウェア)型求人サービスでは、初期投資後は追加コストが低く抑えられるため、スケールするほど利益率が高まりやすいのが特徴です。
一方、大手グループは派遣事業との連動があるため、媒体単体の利益率よりも全体の数字は低くなりがちです。
業態別の利益構造の違いを理解すると、同じ「人材業界」でも働く会社によって財務的な体力・インセンティブ設計・年収ポテンシャルが大きく変わることが見えてきます。
人材紹介の職場環境や年収水準について詳しく知りたい方は、ぜひ一度アイジールジョブへ相談してみてください。
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人材紹介の収益構造と費用の内訳

人材紹介の収益は、採用された人材の理論年収×30〜35%の紹介手数料が主な売上です。
たとえば年収500万円の人材を1人紹介した場合、手数料収入は150〜175万円になります。
そこから人件費・広告費・オフィス費用を差し引いた営業利益率は、理想的な稼働状態で20〜33%程度とされています。
手数料(売上)の計算方法
人材紹介の手数料は、「届出制手数料」と「上限制手数料」の2種類があります。
多くの会社が活用するのは届出制手数料で、求職者が採用された際に「理論年収(想定年収)×手数料率」で計算されます。
理論年収は月額給与の12カ月分に賞与を加えた金額で、手数料率の相場は30〜35%が一般的です。
たとえば年収600万円の求職者を企業に紹介して採用された場合、手数料は600万円×33%で約198万円となります。
1件あたりの収益が大きいため、成約件数が少なくても一定の売上規模を確保しやすい構造です。
逆に言えば、成約が0件の月は売上がゼロになるため、景気変動への耐性が問われるビジネスでもあります。
主な費用の内訳と適正比率
人材紹介会社の費用は、大きく「人件費」「広告宣伝費」「固定費(家賃等)」の3つに分かれます。
一般的な適正比率は以下のとおりです。
※以下の損益モデルは、あくまで一例としてのシミュレーションです。実際の利益率は、成約件数・広告費・担当領域・組織規模によって大きく変動します。
| 費用項目 | 売上に対する目安 | ポイント |
|---|
| 人件費 | 25〜35% | CA・RA・バックオフィスを含む固定費。人数が増えるほど利益率に影響しやすい |
| 広告宣伝費 | 20〜35% | 求職者集客・求人獲得にかかる変動費。CPA悪化で利益率が崩れやすい |
| 固定費(家賃等) | 5〜10% | オフィス費用、SaaS、媒体利用料など。急には下げにくい固定コスト |
| 営業利益率 | 10〜30% | 成約件数・広告効率・手数料単価によって大きく変動 |
人件費は削減が難しい固定費で、CAの人数に直結します。
利益率を改善するうえで最もコントロールしやすいのは「広告宣伝費(求職者・求人の獲得コスト)」です。
まずここを最適化することが、利益率改善の出発点になります。
損益シミュレーションの例
ある月に540万円の手数料収入を得た人材紹介会社の損益を例に見てみましょう。
※以下は人材紹介会社の損益イメージをわかりやすくするためのシミュレーション例です。実際の利益率は、会社規模・成約件数・広告費・担当領域・組織体制によって大きく異なります。
| 項目 | 金額 | 補足 |
|---|---|---|
| 売上(紹介手数料) | 540万円 | 年収600万円の成約3件、手数料率30%を想定 |
| 人件費 | 180万円 | CA・RA・バックオフィスを含む月次人件費の按分イメージ |
| 広告宣伝費 | 150万円 | 求職者集客・求人獲得にかかる広告費 |
| 固定費(家賃等) | 80万円 | オフィス費用、媒体利用料、各種SaaS利用料、通信費、雑費などを含む |
| 費用合計 | 410万円 | |
| 営業利益 | 130万円 | 売上 - 費用合計 |
| 営業利益率 | 24.1% | 営業利益 ÷ 売上 |
このシミュレーションはあくまで一例の数字です。
実際には求職者の獲得コストが予算を上回った月・成約が少なかった月などに利益率は大きく低下することもあります。
毎月安定してこの水準を維持するには、チャネル別のCPA(1件の成約にいくらかかるかの広告費)管理が欠かせません。
上場企業のデータから見る人材会社の実際の利益率

上場人材企業の営業利益率を見ると、人材紹介に特化した会社ほど高い傾向があります。
純粋な人材紹介系の会社は20%前後の営業利益率を実現しているケースが多い一方、人材派遣事業を主体とする大手グループ企業は1〜5%程度と大きく開きがあります(*3)。
業態の違いが利益率の差に直結しています。
人材紹介特化型企業の利益率
人材紹介を主な事業とする上場企業は、利益率が高い傾向にあります。
業界動向サーチの2022〜2023年実績データによると、医療職紹介特化・ハイクラス特化など専門特化型の会社ほど営業利益率が20〜28%と高い水準を維持しています(*3)。
同じ人材紹介でも、扱う職種・年収帯によって手数料収入(理論年収×手数料率)が大きく変わるためです。
特にエグゼクティブ・ハイクラス人材(年収800万円以上)を対象にした会社では、1件あたりの手数料が300〜500万円以上になることもあります。
成約件数が少なくても高利益率を維持しやすい構造で、専門特化の戦略的意義が大きいことがわかります。
*3: 業界動向サーチ「人材派遣業界 利益率ランキング(2022〜2023年実績)」
人材派遣主体型企業の利益率
同じ「人材業界の上場大手」でも、派遣事業を主体とする企業の営業利益率は低い水準にとどまります。
大手人材派遣グループは売上規模こそ数千億〜1兆円超と大きいものの、派遣スタッフへの賃金支払いが売上原価として計上されるため、利益率は数%にとどまることが多くなっています(*3)。
売上規模が大きいから「儲かっている会社」とは限りません。
利益の「厚さ」という観点では、小規模でも人材紹介に特化した会社が大手の派遣グループを上回るケースは珍しくありません。
人材業界では、売上高が大きい=利益率が高いとは限りません。人材派遣系の大手は売上規模が大きくても利益率は低く、人材紹介特化の中堅企業が20〜30%近い利益率を実現しているケースもあります。業界研究をするときは「売上高」だけでなく「営業利益率」も必ず確認してみてください。
大手と中小で利益率はどう変わるか
一般的に、企業規模が大きくなるほど人材紹介の利益率は低下していく傾向があります。
理由は「成長のために広告費や人員を増やす投資が膨らむから」です。
規模の大きい会社は求職者・求人の獲得コストが増加し、バックオフィスや管理部門の固定費も増えるため、中小・特化型の会社と比べて利益率が圧縮されやすくなります。
逆に言えば、10〜20名程度の小規模な人材紹介会社がニッチ市場に特化することで、30%近い利益率を安定的に維持しているケースも珍しくありません。
利益率の高さは必ずしも規模に比例しないのが、人材紹介業の面白いところです。
業界内で条件のよい人材紹介会社への転職を考えている方へ。
利益率の高い会社ほどCAへのインセンティブ還元も充実しやすく、年収ポテンシャルに直結します。
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「利益率20%」が現実にならない場合の原因

人材紹介の利益率が理論値の20%を大きく下回るケースは少なくありません。
特に近年は参入事業者の増加により、HRテックプラットフォームへの広告費が高騰しており、利益率の実質的な圧縮が続いています。
景気変動リスクや立ち上げ初期のコスト構造も、利益率が想定を下回る大きな要因です。
参入増加と広告費の高騰
人材紹介事業の参入障壁は比較的低く、事業許可を取得すれば比較的容易に開始できます。
厚生労働省の統計によると、有料職業紹介事業所数は令和6年度時点で30,561事業所に達しており、競争は年々激化しています(*4)。
参入事業者が増えるほど、Indeed・エン転職・リクナビNEXTといったHRテックプラットフォームへの広告出稿競争が激しくなります。
業界に長くいると見えてくるのが、求職者1人あたりの獲得コストが年々上昇しているという現実です。
以前と比べて同じ利益率を維持するには、広告費の効率をよりシビアに管理する必要が生まれています。
参入しやすい業界だからこそ、利益率を守る経営上の工夫が問われる業界でもあります。
*4: 厚生労働省「職業紹介事業の事業報告の集計結果」
景気変動リスクと利益率の関係
人材紹介は景気に敏感なビジネスモデルです。
企業が採用を抑制すると、成約件数は急減します。
しかし、CAの人件費・オフィス家賃という固定費は、成約数にかかわらず発生し続けます。
2020年のコロナ禍では、採用凍結が相次いだ結果、それまで堅調だった人材紹介会社の多くが利益率の急落や赤字転落を経験しました。
一方、2021年後半から景気が回復すると採用需要も急回復し、特にDX・デジタル人材の採用単価高騰もあって2022〜2023年は記録的な高利益率を実現した会社も多くありました。
急落と急回復の波が大きいというのが、人材紹介ビジネスの特徴のひとつです。
景気の波に耐えられる財務体力と、固定費をコントロールする経営上の判断が、長期的な利益率の安定につながります。
立ち上げ期と安定期では利益率が別物
「人材紹介は利益率が高い」という話は、多くの場合安定稼働期の数字です。
複数社の立ち上げを通じて感じてきたことですが、立ち上げ初期は広告チャネルの試行錯誤が続くため、広告費が予算をオーバーしがちです。実質的な利益率は5〜10%程度になるケースも珍しくありません。
月間売上が1,000万円を超え、チャネルごとのCPAを安定的に管理できるようになって初めて、15〜20%という水準が現実的になってきます。
「利益率20%」は「うまくいっているときの数字」であり、立ち上げから安定期に至るまでには相応の試行錯誤と時間が必要です。
ただし、コツを掴めば再現性のあるモデルに育てることも可能で、そこが人材紹介の面白さでもあります。
矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査」(2025年10月24日発表)によると、2024年度の人材紹介業(ホワイトカラー職種)の市場規模は4,490億円(前年度比12.0%増)と成長が続いており、業界全体のパイは拡大しています(*2)。
競争が激しくなる一方で、市場の伸びに乗れる余地はまだあります。
*2: 矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査」(2025年10月24日発表)
人材紹介事業の利益率を高める3つの方法

人材紹介事業の利益率を高めるうえで、最もコントロールしやすい変数は「広告費」です。
人件費や家賃などの固定費は削減が難しい一方、求職者・求人の獲得コスト(変動費)の最適化が利益率に直結します。
まずチャネルごとのCPAを定期的に把握し、費用対効果の低いチャネルを絞り込むことが第一歩です。
広告費の最適化(チャネル選定とCPA管理)
広告チャネルは多様で、選択肢は幅広くなっています。
重要なのは「どのチャネルで1件の成約にいくらかかっているか(CPA)」をチャネル別に管理することです。
自社が活用しているチャネルで成約が取れているのか、CPAは適正範囲に収まっているかを月次で可視化することで、無駄な広告費を削減できます。
著者の経験からすると、広告費は「平均成約手数料の3分の1以内」を目安に抑えることが利益率を保ちやすいラインです。
これを超えるチャネルは見直しのサインです。
手数料単価を上げる(ハイクラス・専門職特化)
手数料収入は「採用された人材の理論年収×手数料率」で決まるため、扱う人材の年収帯を上げることが利益率の直接的な改善につながります。
汎用的な職種(一般事務・営業等)を幅広く扱うよりも、特定の専門職・ハイクラス人材に絞ることで、1件あたりの手数料単価を高めることができます。
たとえば年収500万円の求職者(手数料150〜175万円)を10件成約するよりも、年収1,000万円のハイクラス人材(手数料300〜350万円)を5件成約する方が、CAの工数が少なく済み利益率は上がりやすくなります。
ニッチ特化は競争からの差別化にもなり、採用ブランディング上の効果も期待できます。
業務効率化で1人あたりの生産性を高める
人件費は利益率を圧縮する最大の固定費ですが、「CAの数を減らす」のではなく「1人あたりの成約件数を高める」ことで利益率を改善できます。
ATS(採用管理システム)や求職者データベースの活用により、書類整理・求人送付・面接調整などの定型業務を自動化できます。その分、CAが本来の「対話・提案・調整」業務に集中できる時間が増えます。
採用する側の視点で言うと、ツール投資でCAの生産性が上がる効果は、単純な採用コスト削減よりも大きいことが多いです。
初期投資は必要ですが、利益率の構造的な改善につながる手段として、早期から取り組む価値があります。
人材業界の利益率に関するよくある質問

Q人材紹介と人材派遣、どちらが利益率が高いですか?
A人材紹介の方が圧倒的に利益率が高くなります。人材紹介の平均営業利益率は20%前後であるのに対し、人材派遣は派遣スタッフへの賃金が売上原価として発生するため、実際の営業利益率は1〜5%程度にとどまることが多いです。同じ「人材業界」でもビジネスモデルが根本的に異なり、利益構造も別物です。
Q人材紹介会社を起業した場合、利益が出るまでどれくらいかかりますか?
A一般的には立ち上げから安定した利益が出るまでに1〜2年かかることが多いです。立ち上げ初期は広告費の試行錯誤が続くため、実質的な利益率は5〜10%程度になりやすく、月間売上1,000万円程度の安定稼働に入ってから15〜20%の水準が見えてくる傾向があります。ただし会社の規模・戦略・担当職種によって大きく異なります。
A一般的に、企業規模が大きくなるほど人材紹介の利益率は低下する傾向があります。大手は人員・広告費・バックオフィス等の固定費が増えるためです。逆に、10〜20名程度の中小・ニッチ特化型の人材紹介会社が25〜30%以上の利益率を維持しているケースも珍しくありません。利益率と売上規模は必ずしも比例しません。
Q景気が悪くなると人材業界の利益率はどうなりますか?
A景気後退局面では企業の採用が減少し、人材紹介の成約件数が急減するため、利益率は大幅に低下します。固定費(人件費・家賃)は変わらない一方で売上が減るため、赤字転落するケースもあります。2020年のコロナ禍が典型例です。景気回復時には急速に利益率が回復する傾向がありますが、景気変動への耐性という観点では注意が必要なビジネスモデルです。
A異なります。マージン率とは、派遣料金のうち派遣スタッフの賃金以外の割合を指しますが、この中には派遣会社の利益だけでなく、社会保険料や教育訓練費なども含まれます。一方、営業利益率はマージン率からさらに採用広告費・オフィス費用・人件費などを差し引いた後に残る数字です。そのため、マージン率が高く見えても、実際の営業利益率は1〜5%程度にとどまることが多くなります。
マージン率が高いからといって、必ずしも営業利益率が高いわけではありません。
【免責事項】
※本記事に記載の数値・事例は参考情報であり、実際の利益率は会社の規模・事業構成・経営状況・市場環境によって大きく異なります。本記事の情報を特定の投資・経営判断の根拠として使用される場合は、必ず一次ソースや専門家への確認をお願いします。