「40代はエージェントに断られる」「求人を紹介してもらえない」という話を耳にして、最初の一歩を躊躇している方も多いと思います。
結論から言えば、40代の転職市場はここ数年で確実に変わっています。
ただし、20代・30代と同じ感覚で人材紹介を使おうとすると、なかなかうまくいかないのも事実です。
この記事では、人材紹介会社を3社立ち上げ、キャリアアドバイザー(以下CA)として多くの転職支援に関わってきた経験から、40代が転職エージェントを使いこなすために知っておくべき「エージェント側の本音」と、実際に成功するための動き方をお伝えします。
監修者
株式会社アイジール 代表
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の転職エージェント事業を運営。
40代の転職で人材紹介を使うべき理由と現状

40代の転職は増加傾向にあります。
人材紹介(転職エージェント)を活用することで、一般公開されない非公開求人へのアクセスや年収交渉のサポートが受けられます。
マイナビ「転職動向調査2026年版」によると、2025年の40代転職率は6.8%(前年比+0.7pt)と、2021年以降右肩上がりで上昇を続けており(*1)、「40代は転職できない」という思い込みは過去のものになりつつあると感じています。
かつて転職市場には「35歳限界説」という言葉がありました。
35歳を超えると転職が難しくなる、という考え方です。
しかし近年、この感覚は大きく変わっています。
人手不足の深刻化・即戦力需要の高まり・ミドル層の採用を強化する企業の増加が重なり、40代を対象とした求人は確実に増えてきました。
同調査では、2025年の全体転職率も7.6%と調査開始以降の最高水準に達し(*2)、転職後の平均年収は533.7万円と転職前(514.5万円)から約19.2万円増加しています(*2)。
転職によって年収が上がるケースも決して少なくありません。
人材紹介を使う最大のメリットは、非公開求人へのアクセスと書類・面接対策のサポートです。
転職サイトに掲載されない非公開求人は、全体の求人の中でも条件が良いものが集まりやすい傾向があります。
40代の転職では、このルートからでないと出会えない求人が少なくありません。
*1: マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)速報版」
*2: マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)詳細版」
2025年の40代転職率は6.8%と上昇中。転職後の平均年収は533.7万円で、転職前より約19万円増加。「40代は転職できない」という時代は終わりに近づいています。
40代がエージェントに断られる理由と本音の事情

転職エージェントへの登録自体を断られることは、法律上ほとんどありません。
ただし、採用課金モデルの構造上、採用確率が低いと判断されると求人紹介の優先度が下がることがあります。
「エージェントが積極的に動いてくれる求職者の条件」を事前に把握することが、スムーズな転職活動の第一歩になります。
人材紹介とは、転職を希望する求職者と採用を希望する企業をマッチングする「有料職業紹介事業」のこと。求職者は無料で使え、エージェントは求職者が入社した企業から成功報酬を受け取るビジネスモデルが一般的です。厚生労働省の許可を受けた事業者のみが運営できます。
転職エージェントが採算を意識する理由
人材紹介会社は「求職者が入社して初めて報酬が発生する」成功報酬型のビジネスモデルで運営されています。
そのため、採用に結びつく可能性が低い求職者への工数は、構造的にかけにくくなりやすいのが現実です。
これはエージェントの倫理的な問題ではなく、ビジネスモデルの性質といえます。
業界に長くいる立場から正直にお伝えすると、CAは1人で40〜50名以上の求職者を同時に担当するケースが多いため、「この方を支援するとどのくらい成約に繋がりそうか」というCAなりの優先順位が、必然的に生まれます。
これが「40代は後回しにされやすい」と感じる背景です。
求人紹介が少なくなりやすい40代のパターン
実際の面談や採用現場で見てきた中で、求人紹介が少なくなりやすい40代には共通したパターンがあります。
<スキルの汎用性が低い>
「この業界・この職種しかできない」と思われると、紹介できる求人が限られます。
40代の場合、採用企業は「即戦力」として迎えたいため、業界・職種をまたいで活かせる経験が見えないと、マッチする求人を探しにくくなります。
<年収条件と転職先の希望に矛盾がある>
現年収の維持・アップを求めながら、転職先の業界・職種・規模を狭く絞りすぎているケースです。
「この年収でこの条件なら、なかなか紹介できる求人がない」という状況が生まれます。
<「登録して待つだけ」の受け身姿勢>
CAは積極的に関わってくれる求職者を優先する構造があります。
登録後に自分から状況を共有したり、フィードバックを求めたりする姿勢がないと、担当CAの優先度リストから自然と下がっていきます。
断られにくい求職者になるための条件
ただし、条件を満たせばCAは積極的に動いてくれるケースがほとんどです。
現場で見てきた感覚として、CAが「この方を絶対に決めたい」と思う求職者には共通点があります。
この3点を意識するだけで、エージェントとの関係性は大きく変わります。
40代がエージェント経由の転職でつまずきやすいのは、年齢そのものよりも「伝え方」と「使い方」が噛み合っていないケースです。
アイジールジョブでは、CA職の現場感を踏まえながら、求人紹介の優先度が下がりにくい見せ方や、面談でどこまで具体化すべきかまで整理して相談できます。
40代で人材紹介をどう使えばいいか迷っている方は、ぜひ一度アイジールジョブへ相談してみてください。

40代向け人材紹介の選び方

40代の人材紹介選びは「求人数の多さ」ではなく、「自分の経験に合った求人の精度」で選ぶことが重要です。
総合型1社+業界・職種特化型1〜2社を組み合わせる使い方が、転職活動の効率と成功率を高めやすい傾向があります。
総合型エージェントの使い方(市場感の把握)
リクルートエージェントやdodaのような総合型エージェントは、まず市場感を把握するために使うのが40代には合理的です。
「今の自分のスキルセットで、どのくらいの求人が存在するのか」「市場での評価はどのくらいか」を知るためのファーストステップとして機能します。
求人数が多いため、自分が気づいていない求人に出会える可能性もあります。
ただし、担当CAが多くの求職者を同時に抱えているため、手厚いサポートを期待するには工夫が必要です。
自分から積極的に動く前提で使う、というスタンスが総合型では特に大切になります。
ミドル専門型・ハイクラス型の特徴と注意点
JACリクルートメントなどミドル・ハイクラス専門型は、管理職・専門職・外資系などのハイポジション求人に強いのが特徴となっています。
40代で管理職・部長クラスへのキャリアアップを目指す方には選択肢として有効です。
ただし、「ミドル専門型=40代全員に向いている」わけではありません。
一般的な専門職・技術職・総合職の転職では、逆にオーバースペックになり求人の幅が狭まる場合があります。
「自分が目指すポジションのレンジ」と「そのエージェントが得意とする求人のレンジ」が合っているかどうかを確認してから登録することをおすすめします。
業界特化型を組み合わせるメリット
総合型で市場感を把握した後、業界・職種特化型のエージェントを組み合わせることで、マッチング精度が上がっていきます。
特に40代は「経験のミスマッチをなくす」ことが成功率を左右するため、特化型との組み合わせは効果的です。
採用する側の視点で言うと、業界特化型のエージェントが紹介する求職者は、書類の段階から「業界理解がある人」というフィルターがかかっています。
これは選考通過率にも影響してくるものです。
総合型:市場感把握・求人数確保に使う。ミドル専門型:管理職・ハイポジション志望向け。業界特化型:マッチング精度を高める。大手1社+特化1〜2社の組み合わせが40代には現実的。
登録前に必ず済ませるキャリア棚卸しの方法

40代の人材紹介活用では、登録前の「キャリア棚卸し」の質が転職活動の速度を左右します。
CAが積極的に動いてくれる求職者は、経験を羅列するのではなく「この人が入社すれば、企業のこの課題が解決される」と具体的にイメージさせる語り方ができる人です。
40代に求められる自己PR軸とは
CA面談では、必ずと言っていいほどこんな質問が来ます。
「あなたが入社することで、その会社にどんな変化が起きますか?」
20代・30代の転職では「ポテンシャル」や「成長意欲」が一定の武器になりますが、40代にはそれは通用しません。
採用企業が40代に求めるのは、入社後すぐに課題を解決してくれる即戦力です。
複数社の立ち上げを通じて多くのCA面談を見てきた経験から言えるのは、40代で転職が決まりやすい人は「修羅場経験」「意思決定経験」「人材育成経験」を具体的なシーン+数値で語れる状態になっている、という共通点があります。
これらを事前に言語化しておくだけで、CA面談での印象は大きく変わります。
実績の数値化が難しい場合の対処法
「自分の仕事は数値化しにくい」という声はよく聞きます。
ただ、実際に話を聞いてみると、多くの場合は数値化できていないのではなく、数値で考える習慣がないだけというケースが大半です。
完璧な数値でなくてもかまいません。
「担当チームの残業が月平均〇時間から〇時間に減った」「部下の離職率が〇%から〇%に下がった」「自分が担当したクライアントの継続率が〇%だった」。こうした「変化の幅」を数値で示せれば、自己PRとして十分機能します。
キャリアアドバイザー面談で評価される「準備完了状態」のチェックリスト
以下の3点が答えられる状態になってから、エージェントに登録することをおすすめします。
この3点が準備できた状態でCA面談に臨むと、CAが動きやすい求職者になれます。
逆に、これが曖昧なままだと、CAとしても「どの求人を紹介すればいいかわからない」という状態になってしまいます。
40代の転職では、登録社数を増やすことよりも、面談前の棚卸しをどこまで具体化できているかが結果を左右します。
アイジールジョブでは、CA視点で伝わる実績のまとめ方や、非公開求人も含めて今の経験に合う選択肢の見極めまで一緒に整理できます。
40代で人材紹介を使った転職の精度を高めたい方は、ぜひ一度アイジールジョブへご相談ください。

転職活動が長引く40代の失敗パターンと対処法

40代の転職活動が長引く最大の原因は、「エージェントに登録して待つだけ」という受け身の姿勢にあります。
CAは積極的に動いてくれる求職者を優先しやすい構造のため、自分から状況共有・条件の柔軟化・フィードバックの活用を行う求職者ほど、転職活動の期間を短縮しやすい傾向があります。
実際、マイナビの「転職活動実態調査(2025年)」でも、転職活動の想定期間は「3カ月以上半年未満」が28.1%で最多となっており、短期決着だけを前提に動く人ばかりではありません(*3)。
40代の転職では求人の見極めや条件整理に時間がかかることも多く、計画より長くなるケースは珍しくありません。
*3: マイナビ「転職活動実態調査(2025年)」
受け身になりやすい「複数登録放置」問題
「複数のエージェントに登録すれば安心」と考えて、その後何も動かない状態が最もよく見られる失敗パターンです。
登録しただけでは求人は動きません。
エージェントへの能動的な働きかけ、具体的には定期的な状況報告・求人への反応・改善要望の伝達が、CAが動くきっかけになります。
「先週御社から紹介いただいた〇〇の求人についてですが、〜という理由でご検討したいです」という一言が、CAの優先度を上げていきます。
年収条件と転職先選定に矛盾がある場合
現年収を維持・アップしたいという希望は自然な気持ちでしょう。
ただし、年収条件と転職先の希望範囲が乖離していると、CAとしても紹介できる求人が極端に絞られてしまいます。
「希望年収〇〇万円以上、かつ〇〇業界のみ、かつフルリモート」という3条件以上の組み合わせは、40代の転職市場ではかなり求人が限られます。
何を最も優先するかを自分の中で整理し、「ここは少し柔軟に考えられる」という条件を1〜2点持っておくことで、CAが動きやすくなります。
転職活動が3ヶ月を超えたら見直すポイント
活動開始から3ヶ月が経過しても内定に至らない場合は、以下の3点を見直すタイミングです。
長期化は必ずしもネガティブなことではありません。
市場感が身についたこと・自分の強みとして語れることが整理されたことなど、時間をかけることで得られる副産物もあります。
「3ヶ月は通過点」と捉えて、見直しながら続けることが大切になります。
40代が人材紹介を使って転職を成功させるために

40代で人材紹介を使った転職を成功させる人は、エージェントを「お世話してもらう場所」ではなく「共に動くパートナー」として扱います。
CAが積極的に動きたくなる求職者は、自己分析が深く、条件に柔軟性があり、フィードバックを素直に受け取って改善できる人です。
エージェントが「この人を必ず決めたい」と思う求職者の特徴
現場のリアルを知る立場から言えば、CAが「絶対に決めたい」と思う求職者には共通した動き方があります。
<自責思考で改善できる人>
書類選考が通らなかったとき・面接で落ちたときに「なぜ落ちたと思うか自分なりに分析した上で、CAに確認する」という姿勢の人は、明らかに成功率が高いです。
「落とした会社が悪い」「求人が合わなかっただけ」という他責思考の人は、同じことを繰り返しやすい傾向があります。
<素直に試してみる人>
CAのアドバイスを「まずやってみる」人は、それだけでCAが積極的に関わりたくなります。
「自分のやり方が正しい」という固定観念が強い人は、エージェントとの関係が機能しにくくなります。
<条件に柔軟性がある人>
最初の条件を崩せない人よりも、「優先順位を整理した上で、ここは可能性を広げてみます」と動ける人のほうが、求人との出会いが広がります。
転職後に後悔しないための意思決定の軸
業界に長くいると見えてくるのが、転職後に「しまった」と感じる人のパターンです。
「エージェントに勧められたから」「条件が良かったから」という理由だけで転職を決めた人に、入社後のミスマッチが起きやすい傾向があります。
転職の意思決定で後悔しにくい人は、「なぜ転職するのか」「転職して何を実現したいのか」という軸が自分の中にある人です。
この軸があると、複数の内定を比較するときにもブレにくくなります。
なお、転職活動を通じて「やはり今の職場を続けることが自分には合っている」という結論になることもあります。
それも立派な判断といえます。
人材紹介は「転職するための手段」ではなく「自分のキャリアを見直す機会」として使うこともできます。
40代の転職と人材紹介に関するよくある質問

Q40代は転職エージェントに登録して断られることはありますか?
A登録自体を断られることは法律上ほとんどありません。ただし、採用課金型のビジネスモデル上、採用につながりやすいと判断されない求職者への求人紹介が少なくなる場合があります。スキルの汎用性・年収条件の現実性・能動的な姿勢の3点を意識することで、CAが積極的に関わってくれやすくなります。
Q40代の転職活動はどのくらいの期間がかかりますか?
Aマイナビの転職活動実態調査によると、転職活動の想定期間は「3カ月以上半年未満」が28.1%で最多となっており、計画より長引くケースは少なくなく、活動開始後3ヶ月を目安に自己PRや条件設定を見直す機会を設けることをおすすめします。転職活動の長期化を防ぐためには、エージェントへの能動的な働きかけが有効です。
A求職者は完全無料で利用できます。人材紹介会社の報酬は、求職者が入社した企業から支払われる成功報酬型(採用企業が費用を負担する仕組み)が一般的です。登録・面談・書類添削・面接対策・入社後フォローまで、すべて無料で受けられます。
A完全未経験での業種転換は難しい場合が多いですが、「経験を活かせる業界への異動」や「職種は同じで業界を変える」形であれば可能性は広がります。特に、これまでのマネジメント経験・業務改善経験・人材育成経験は、業界をまたいで評価されやすいスキルです。エージェントのCA面談で「どの経験が他業界で通用するか」を確認するのが最初の一歩になります。
Q複数のエージェントに登録しても問題ありませんか?
A問題ありません。異なるエージェントは保有する求人が異なるため、複数登録は転職活動の幅を広げる上で有効です。ただし、登録しすぎると管理が煩雑になります。40代の場合は「総合型1社+特化型1〜2社」の合計2〜3社程度が現実的に管理しやすい組み合わせです。複数に登録している旨を各エージェントに伝えておくと、担当CAとの関係がスムーズになります。
【免責事項】
※本記事に記載の数値・事例は参考情報であり、個人の状況や転職先によって結果は異なります。転職の意思決定は、ご自身の状況を踏まえた上でご判断ください。