転職活動を始めようとしたとき、「転職エージェントとハローワーク、どちらを使えばよいのでしょうか。
どちらも求職者は無料で使えますが、サービスの設計がまったく異なります。
この記事では、人材紹介会社の立ち上げを複数経験してきた立場から、両者の違いと目的別の使い分けを正直にお伝えします。

転職活動を始めようとしたとき、「転職エージェントとハローワーク、どちらを使えばよいのでしょうか。
どちらも求職者は無料で使えますが、サービスの設計がまったく異なります。
この記事では、人材紹介会社の立ち上げを複数経験してきた立場から、両者の違いと目的別の使い分けを正直にお伝えします。

監修者
株式会社アイジール 代表
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の転職エージェント事業を運営。

転職エージェントとハローワークは、どちらも転職・就職を支援するサービスです。
しかし運営主体・サービスの設計・使える場面が大きく異なります。
まずはそれぞれの基本的な仕組みを押さえておきましょう。
転職エージェント(人材紹介会社)とは、民間企業が提供する転職支援サービスです。
CA(キャリアアドバイザー)は転職エージェントに所属し、求職者の面談・求人紹介・書類添削・面接対策・内定後フォローまでを一貫して担当する転職支援のプロフェッショナルです。
転職エージェントは大きく「総合型」と「特化型」に分かれます。
| タイプ | 特徴 |
求職者は完全無料で利用できます。
費用は採用が決まった企業から支払われる成功報酬(採用年収の目安20〜35%)でまかなわれており、これが後述する「ビジネスモデルの違い」に深く関わってきます。
RA(リクルーティングアドバイザー)が企業側を担当するのに対し、CAは求職者側を専任で担当します。
1人のCAが同時にサポートする求職者の数(担当件数)は会社によって異なり、この件数の差が転職サポートの質に直結します。
ハローワーク(公共職業安定所)は、国(厚生労働省)が運営する公的な就職支援機関です。
全国に544拠点が設けられており、求職者・企業とも原則無料で利用できます。
ハローワークでは、求人検索・紹介状の発行・個別の就職相談に対応しているほか、失業給付(雇用保険の基本手当)の申請窓口としての機能も担っています。
求人掲載が企業にとっても原則無料なため、地域の中小企業・地場産業の求人が多く集まりやすいのが特徴です。
両者に共通するのは「求職者が無料で使える」という点だけです。
目的・サポート内容・ビジネスモデルは、以下に説明するとおり大きく異なります。
ハローワーク:国が運営する公共機関。税金で運営。求人紹介・失業給付申請・職業訓練に強い。

転職エージェントとハローワークの違いは、求人の種類・サポート内容・担当者の専門性・ビジネスモデル・利用可能日時の5つの軸で整理できます。
どちらが「優れている」という話ではなく、それぞれ異なる設計思想で作られており、向いている使いどころが違います。
転職エージェントは精査された求人、ハローワークは幅広い求人という棲み分けがあります。
転職エージェントが取り扱う求人は、エージェントが企業側からヒアリングし、選考基準・職場環境まで把握した上で紹介するものがほとんどです。
転職サイトには載っていない「非公開求人」も多く、大手企業・成長ベンチャー・特定業種のポジションが集まりやすい傾向があります。
ハローワークの求人は、掲載コストが企業側に無料なため、求人数自体は国内最大規模です。
地方の中小企業・地域密着型の企業の求人が特に豊富で、転職エージェントが取り扱わないようなポジションが見つかることもあります。
重要なのは「数の多さ」ではなく、「自分の目的に合う求人がどちらにあるか」です。
大手・成長企業への転職を狙うなら転職エージェント、地元の中小企業を中心に探したいならハローワークが強みを発揮します。
転職エージェントのサポートは一貫して手厚く、ハローワークは求職者が自分で動く形が基本です。
転職エージェントのCAは、面談でキャリアを棚卸しした上で書類添削・面接対策・条件交渉・入社後フォローまで担当します。
企業の採用担当者と直接やり取りしているため、求人票に書かれていない情報も得やすくなります。「職場の雰囲気」「選考で重視するポイント」「配属先の実態」なども、担当CAから教えてもらいやすい環境があります。
ハローワークには職業相談員がいて、就職相談に乗ってもらうことは可能です。
ただし、書類添削・面接対策・企業内情の共有といった踏み込んだサポートは、転職エージェントほど充実していない場合がほとんどです。
求人を探して紹介状を受け取り、自分で応募するという流れが中心になります。
転職エージェントのCAは業界・企業情報に精通していますが、ハローワークの相談員は中立性に強みがあります。
転職エージェントのCAは、担当業界・職種について深い知識を持っていることが多く、「この会社はこういう人を採りたがっている」という具体的な情報も提供できます。
ただしCAにもスキル差があります。
業界知識・対応の質は担当者によって異なり、エージェントを選ぶときと同様に担当者選びも重要です。
ハローワークの相談員は公務員または委託職員であり、成功報酬という収益構造がありません。
「転職させることで収益が生まれる」という利益相反がないため、中立的な立場で相談に乗ってもらいやすいという強みがあります。
一方で、特定の業界・企業への深い情報は持ちにくく、スキルの個人差も大きい傾向があります。
ここが、多くの人が意識していない最も重要な違いです。
転職エージェントは「転職が成立したとき」に収益が発生する仕組みです。
採用が決まった企業から成功報酬(採用年収の目安20〜35%)を受け取ることで運営されており、求職者の転職が成立しなければエージェントの収益はゼロになります。
採用する側の視点で言うと、この構造はCAの行動に自然な方向性を生みます。
CAが誠実に求職者の役に立とうとしていることは多くの現場で感じてきましたが、同時に「転職を先に進める方向」に動きやすい構造的な圧力も存在します。
これは悪意ではなく、ビジネスモデルの問題です。
ハローワークは税金で運営されているため、この利益相反は構造的にありません。
「転職しないほうがいいかもしれない」「今の会社で頑張れる選択肢もある」という話も、プッシュされることなく相談できます。
転職を「すると決めて動いている」段階なら転職エージェント、「するかどうか迷っている」段階ならハローワーク相談というのも一つの使い分けです。
転職エージェントは土日・夜間も動ける。ハローワークは原則平日日中のみです。
転職エージェントの多くは平日夜間・土日祝日のオンライン面談にも対応しており、現職を続けながら転職活動を進めやすい環境が整っています。
電話・メール・チャットでの連絡にも柔軟に対応しているエージェントが多く、通勤時間や休憩中でも動けます。
ハローワークの開所時間は原則平日8:30〜17:15です(一部の拠点では夜間・土曜も対応)。
現職中に転職活動をする場合、ハローワークに通う時間の確保が難しいケースもあります。
「ハローワークインターネットサービス」を利用すれば、自宅のパソコン・スマートフォンから求人検索だけ行うことは可能です。
転職エージェントを選ぶ際には、業種・職種に特化したエージェントに相談することで、より深い情報とサポートが得られることがあります。
アイジールジョブは、人材業界の立ち上げ経験者が直接サポートする体制を整えています。
CA職・人材業界への転職を具体的に考えている方は、ぜひ一度アイジールジョブへご相談ください。

「人手不足」と言われる時代にもかかわらず、ハローワーク経由の就職件数は長期的な低下傾向にあります。
ハローワークの質が落ちたというよりも、転職活動を取り巻く環境そのものが変わったことが主因です。
リクルートワークス研究所の分析によると、ハローワーク経由の紹介件数は2009年の約91万件から2023年には約24万件と、73%もの減少(*1)を記録しています。
有効求人数に占める紹介件数の比率も、2009年の85.8%から2023年には11.3%へと急落(*1)しています。
求職者の入職経路においても、ハローワーク経由の割合は2013年の26.7%から2023年の15.1%へと低下しています(*1)。この10年で、民間の転職サービスへのシフトが着実に進んでいます。
入職経路に占める比率:2013年 26.7% → 2023年 15.1%
(出典:リクルートワークス研究所)
ひとつはスマートフォン普及による「情報の非対称性の縮小」です。
10〜15年前、求人情報を収集するにはハローワークに行くか求人誌を手にするかが現実的な方法でした。
今は転職サイト・エージェント・口コミサービスに24時間アクセスでき、自宅から膨大な求人情報を入手できます。
「情報を得るためにハローワークに行く必要がなくなった」という変化が、利用率の低下に直結しています。
もうひとつは採用コストの上昇と、民間エージェント市場の拡大です。
厚生労働省の発表によると、令和7年3月の有効求人倍率は1.26倍(*2)と高水準が続いており、企業が人材を採用しにくい状況が続いています。
採用コストが上昇するにつれ、「お金を払ってでもプロの転職エージェントに紹介してほしい」という企業が増え、民間の人材紹介市場が広がっています。
これはハローワークが「使えなくなった」という話ではありません。
失業給付の申請・職業訓練の受講・地域密着型の求人探しといった場面では、ハローワークは今も唯一無二の存在です。
ただ、転職活動全体の重心が民間エージェントに移りつつあるのは、データが示す現実です。

転職エージェントとハローワーク、どちらが「優れている」という話ではありません。
自分の状況・目的・転職活動のフェーズによって、向いている場面が異なります。
「どちらか一方を選ぶ」のではなく、「何のために使うか」で判断するのが正解です。
転職エージェントが力を発揮するのは、「効率よく・具体的な求人に向かって動きたい」ときです。
以下のような状況の方には、転職エージェントが向いています。
現職中で平日日中に動けない方(土日・夜間対応のエージェントが多い)
大手企業・成長企業・非公開求人にアクセスしたい方
書類添削・面接対策など、一貫したサポートを受けたい方
業界情報・企業内情を踏まえた上で求人を選びたい方
転職活動を短期間で集中して終わらせたい方
レバレジーズ株式会社「若者しごと白書2025」によると、転職エージェントを利用した20代の若手正社員は3年連続で50%を超えています(*3)。転職活動の主要な選択肢として、幅広い世代に定着しています。
転職エージェントは特定の業種・職種への転職では、専門特化型を選ぶとより深い情報が得られます。
ハローワークは「急がず・じっくり・自分のペースで転職を考えたい方」や「地元の中小企業に転職したい方」に向いています。
以下のような状況の方にはハローワークが有効です。
地方・地元の中小企業への転職を考えている方(転職エージェントが扱わない求人が多い)
「転職すべきかどうか」をフラットに相談したい方(成功報酬なし=転職を急かされにくい)
職業訓練を活用してスキルアップしてから転職したい方(国の補助で格安・無料の訓練が受けられる)
離職中で、転職活動の方向性が決まっていない方(ゆっくり考えられる環境がある)
特に「業種・職種を変えたい」「何をやりたいか自体が決まっていない」という段階なら、ハローワークの窓口でゆっくり相談するのも一つの手です。
「転職エージェントに行くと転職が決まる前提で話が進む」と感じる方は、まずハローワークから始めるという選択もあります。
失業給付(雇用保険の基本手当)の申請は、ハローワーク経由が原則必須です。
転職エージェントでは失業給付の手続きを行うことはできません。
離職後に失業給付を受けるためには、以下の流れでハローワークへの手続きが必要です。
1. 離職票を持参してハローワークに求職の申し込みをする
2. 待期期間(7日間)を経て、受給資格の確認を受ける
3. 4週間ごとの認定日にハローワークへ出向き、求職活動の実績を報告する
4. 認定を受けて給付を受ける
転職エージェントへの登録・面談は「求職活動の実績」として認められる場合がありますが、詳細は担当のハローワーク窓口に確認することをお勧めします。
「失業給付を受けながら転職活動もしたい」場合は、ハローワークと転職エージェントの並行活用が現実的な選択です。
「転職エージェントとハローワーク、どちらを使うか」の方針が決まったら、次は自分に合ったエージェント選びです。
CA職・人材業界への転職を具体的に考えている方は、CA専門の転職エージェントを活用するのが一つの近道です。
CA職に特化した求人・面接対策・業界情報をサポートするアイジールジョブへ、ぜひ一度ご相談ください。

転職エージェントとハローワーク、どちらかに絞る必要はありません。
利用規約上の制限もなく、両方を上手に活用することで転職活動の選択肢を広げられます。
それぞれの強みを組み合わせることで、求人の網を最大化できます。
転職エージェント経由で大手・非公開求人にアクセスしながら、ハローワークで地域密着型の求人もチェックするという役割分担ができるでしょう。
離職中の場合は、失業給付の手続きをハローワークで行いながら、具体的な求人探しと面接対策は転職エージェントに任せるという使い方が特に有効です。
実際、転職エージェントへの登録・面談はハローワークが認定する「求職活動の実績」として扱われる場合があります。
詳細は担当のハローワーク窓口に確認してみてください。
スケジュール管理・情報共有・重複応募の回避を自分で行うことが大切です。
① 転職エージェントに「ハローワークも並行して使っている」と伝える
担当のCAも状況を把握した上でサポートしやすくなります。
「ハローワークで応募済みの求人がある」という情報を共有しておくと、重複応募のトラブルを防げます。
② スケジュールは自分で一元管理する
転職エージェントとハローワークはそれぞれ別のシステムで動いています。
応募状況・面接日程・連絡先は自分でまとめておくと混乱を防げます。
特に複数社の選考が同時に進む場合は、スプレッドシートなどで管理するのがお勧めです。
③ 登録エージェント数は2〜3社に絞る
転職エージェントは複数社を比較しながら使うのが有効ですが、登録社数が増えすぎると連絡や管理が大変になります。
総合型の大手エージェント1社+特定業種の特化型エージェント1〜2社という組み合わせが、情報の幅と深さのバランスがとれておすすめです。

転職エージェントは非常に便利なサービスですが、使い始める前に「ビジネスモデルの仕組み」と「担当者との向き合い方」を知っておくと、より主体的に活用できます。
特に「CAのビジネスモデルを理解すること」は、転職エージェントを主体的に活用する上で役立ちます。
業界に長くいると見えてくるのが、この構造がCAの行動にどう影響するかという問題です。
多くのCAは誠実に求職者の役に立とうとしています。
ただし、転職が成立したときに初めて収益になる構造の中で仕事をしているという事実は、知っておくべきことです。
CAのアドバイスを「そのまま鵜呑みにするのではなく、自分の軸と照らし合わせながら活用する」という姿勢が大切です。
「この求人、本当に自分に合っているか?」という問いは、常に自分自身が持つべきものでしょう。
CAを最大限活用しながら、最終的な判断は自分でするという意識が、転職エージェントの賢い使い方です。
担当のCAとの相性が合わないと感じたら、担当変更を依頼することが可能です。
「提案が自分の希望とずれている」「話がかみ合わない」と感じる場合は、遠慮せずエージェントに担当者の変更をお願いしてみましょう。
担当変更を申し出ることに、遠慮は不要です。
「希望職種に詳しい方に担当していただきたい」「転職活動のスピード感が合わない」など、前向きな理由を一言添えると対応してもらいやすくなります。
最後に、転職エージェントを使う際に特に意識してほしいことをお伝えします。
転職エージェントのCAは、成功報酬型というビジネスモデルの特性上、「転職を積極的に薦める方向」に動きやすい面があります。
ただ、現実には「転職活動を始めてみたら、今の職場の条件が悪くなかったとわかった」というケースも少なくありません。
転職エージェントを使うことは「転職することを決定した」という意味ではありません。
「まず情報収集のために動いてみる」という姿勢で登録し、転職するかどうかは最終的に自分で判断するというスタンスが、後悔のない転職活動につながります。

転職エージェントとハローワークは同時に使っていいですか?
ハローワークの担当者もキャリアアドバイザーと呼びますか?
転職エージェントに登録して「転職しない」結論になっても問題ないですか?
失業給付を受けながら転職エージェントを使えますか?
転職エージェントは完全無料ですか?
【免責事項】
※本記事に記載の数値・事例は参考情報であり、個人の状況や転職先によって結果は異なります。転職の意思決定は、ご自身の状況を踏まえた上でご判断ください。
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監修者
株式会社アイジール 代表取締役
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の人材紹介事業を運営しております。