「人材紹介の営業職に転職したい」と調べ始めると、CA・RA・両面型と呼び方が次々に出てきて、結局どれが自分に合うのか分かりにくいと思います。そこに「きつい」「離職率が高い」という声まで重なるので、不安のほうが先に立ってしまう方も多いはずです。
正直に言うと、人材紹介の営業職にきつさはあります。ただ、その中身は職種と会社タイプでまるで違います。ここを切り分けずに「きつい・やばい」だけで判断すると、本当は自分に合っていた環境まで避けてしまう。これがいちばんもったいないパターンです。
この記事は、人材紹介の会社を3社立ち上げて、未経験者の採用も育成も現場で見てきた立場から書いています。仕事内容・きつさ・年収・向いている人を、ご自身で判断できるところまで具体的に整理しました。
監修者
株式会社アイジール 代表
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の転職エージェント事業を運営。
人材紹介の営業職(キャリアアドバイザー・RA)とは|3職種の違いから整理する

人材紹介の営業職とは、ざっくり言えば、求職者と採用企業をつなぐ窓口を担う営業職の総称です。同じ「営業」でも、向き合う相手によって呼び方も悩みの種類も変わってきます。
よく出てくるのがRAとCAという呼称です。この2つ、担当する相手が根本から違います。ここさえ最初に押さえておくと、求人票に書かれた職種名もぐっと読み解きやすくなります。
ちなみに人材紹介業の事業所は全国で30,113件(*1)。参入の多い市場なので、その分だけ会社ごとに体制も報酬設計もバラつきが出やすい、ということでもあります。
リクルーティングアドバイザー(RA)とは
RA(リクルーティングアドバイザー)は、採用企業を担当する法人営業職です。採用担当者にアプローチして採用ニーズを聞き出し、求人票をつくり、CAと連携して候補者を提案していきます。
相手が「人」ではなく「企業」。ここがCAとの最大の違いです。法人営業の経験がある方なら、仕事の骨格はイメージしやすいと思います。
キャリアアドバイザー(CA)とは
CA(キャリアアドバイザー)は、転職を考えている求職者を担当する、個人向けの相談・提案職です。面談で希望や状況、ときには本音まで引き出し、最適な求人を提案しながら内定までサポートします。
いわゆる「転職エージェントの担当者」がこの役割です。相手の感情に寄り添いながら、同時に数字とも向き合う。このバランスが問われます。
両面型と片面型の違い
大手に多い片面型エージェントは、RAとCAが分業されています。対して中小・特化型では、1人がRAもCAも兼任する「両面型」が主流です。
両面型は、企業側の生の情報を持ったまま求職者に提案できるので、マッチングの精度が上がりやすい。これは大きな強みです。ただし業務量は当然増えますし、きつさの種類も複合します。ここは入社前に知っておくと、入ってからの落差が小さくなります。
人材業界の営業職は人材紹介だけではありません。①CA(キャリアアドバイザー)②RA(リクルーティングアドバイザー)③派遣コーディネーター④派遣法人営業の4種類があり、きつさの質はそれぞれ異なります。人材紹介は感情労働型(CA)と法人プレッシャー型(RA)に分かれ、派遣法人営業は「上司・クライアント・コーディネーター」の三者板挟みが特有の消耗源になります。
*1: 厚生労働省「令和5年度 職業紹介事業報告書の集計結果」(職業紹介事業所数 全国30,113件)
人材紹介の営業職の仕事内容と1日の流れ

どちらの職種も軸は「人と話す・提案する・調整する」。ただ、1日の動き方はRAとCAでけっこう違います。向き不向きを見極めるためにも、まずは具体的な一日の絵を持っておきましょう。
リクルーティングアドバイザー(RA)の1日
RAの一日は企業へのアプローチから始まります。午前は既存クライアントへの採用ニーズ確認と新規アポ取り、午後は企業担当者との面談で採用要件をすり合わせ、夕方からCAへ求人情報を共有して提案準備に入る。これが基本の流れです。
選考調整・内定連絡・条件交渉まで担うので、案件が立て込む日は細かな連絡対応が途切れません。新年度前後など企業の繁忙期には採用ニーズが急増し、同時に動かす案件数も一気に膨らみます。
キャリアアドバイザー(CA)の1日
CAの起点は求職者との面談です。初回面談で経歴・転職理由・希望条件をていねいに聞き、その日のうちに応募できる求人をリストアップします。
翌日以降は書類添削・求人提案・面接日程の調整が同時並行で走ります。繁忙期(3月・8月前後)は新規相談と面接対応が重なって、1日に5〜6件の面談が入る日もある。求職者の多くは平日日中に働いているので、面談が夕方以降や土日に寄りやすいのもCAならではです。
両面型の1日
両面型は、RAの顔とCAの顔を切り替えながら一日を過ごします。企業との交渉のさなかに求職者から緊急連絡が入る、なんて場面も日常茶飯事で、優先順位を常に自分で決める力が要ります。
マニュアルが整っていない会社も多く、立ち上がりには時間がかかりがち。その代わり、企業の情報を持ったまま提案できるので、求職者からの信頼は得やすくなります。

人材紹介の営業職がきついと言われる理由|離職率とリードタイムの現実

人材紹介の営業職には「きつい」「やばい」という口コミがつきものです。きつさが存在するのは、正直に言えば事実です。
ただ、数字で見ると「離職が極端に多い業界」とまでは言えません。人材紹介を含む業界の離職率は14.2%(*2)で、全産業の平均と大きくはかけ離れていない。むしろ問題は「率」よりも、続けられるかどうかが最初の数ヶ月に集中する点にあります。
成果が出るまでのリードタイムが長い
きつさの大きな源泉が、成果が出るまでの時間の長さです。求職者の面談から内定・入社まで、早くて1〜2ヶ月、長ければ3〜6ヶ月かかります。
動いた分がすぐ数字にならない。だから入社直後ほど「自分は本当に成果を出せるのか」という不安がつきまといます。このリードタイムの長さが、メンタルをじわじわ削っていきます。
RA・CAそれぞれのきつさ
RAのきつさは、まず企業の採用ニーズの急変です。先週まで「この条件で」と言っていた企業が、採用凍結や条件変更を突然伝えてくる。積み上げた提案が一瞬でゼロに戻ります。そこに成功報酬モデルゆえの件数競争、内定辞退で案件が白紙になるサイクルが重なる。ここで気持ちを切らさずにいられるかが分かれ目です。
CAのきつさの中心は感情労働です。求職者は人生の重大な局面にいるので、不安や焦りをそのままぶつけてくることもある。それを受け止め続けるのは、体力よりも精神を削ります。音信不通・直前キャンセル・内定後の辞退で関係がゼロに戻る瞬間は、CAとしていちばん応えます。
両面型が最もきついと言われる理由
両面型に特有なのが「三者板挟み」です。実際に現場で味わってきたのも、まさにこの消耗でした。
- 上司から「この条件で企業案件を取ってこい」と言われる
- 企業に伝えると「高すぎる」と値切られる
- 条件を上げて案件を取れたら、今度は「その条件に見合う求職者がいない」と言われる
どれだけ自分が動いても「もう一方」が壁になる。だから解決しない疲れが積もりやすいんです。両面型を選ぶ前に、この構造に耐えられそうかは一度想像しておいてください。
入社後6ヶ月が最初の転換点
ホワイトカラー系の人材紹介だと、入社後6ヶ月〜1年が最初の転換点になります。ここを越えると、きつさの質が「できるか分からない不安」から「量とスピードのプレッシャー」へと変わっていきます。
最初の成約(RA・CAともに3〜5ヶ月目が多い)を一度経験すると、「自分なりのやり方」が見えて、気持ちがぐっと安定します。逆に言えば、この転換点の手前で辞めてしまう人がいちばん多い。だからこそ、「6ヶ月続けてみてから判断する」という基準を持って入社することを、経験上いちばん強くお伝えしたいです。
*2: 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(離職率)
人材紹介の営業職のやりがいと向いている人の特徴

きつい面ばかり書いてきましたが、この仕事を長く続けている人はたくさんいます。「人の転職という人生の節目に、直接関われる」。これは他の職種ではなかなか得られないやりがいです。
人材紹介ならではのやりがい
「あなたのおかげで年収が上がって、家族と旅行に行けるようになりました」。求職者から、そう言われたことがあります。転職支援は、本人だけでなくその家族の暮らしまで変える仕事なんだと、あのとき実感しました。
RA・CAの双方で磨く交渉力・傾聴力・提案力は、他業界の営業に移っても高く評価されます。成果次第では年収800万〜1,000万円超も射程に入る。これも、長く続ける動機になっています。
向いている人の特徴
長く活躍している人に共通するのは、結局「バランス感覚」でした。採用担当として何人も見てきて思うのは、「求職者のためだけに動きたい」でも「とにかく稼ぎたい」でもなく、企業・求職者・自社の三者の利益を自分なりに整理できる人が、安定して成果を出しているということです。具体的には、こういうタイプが残っていきます。
- 人の話を聴くのが苦にならない人
- 数字の目標を、追われるものではなく前向きな張り合いに変えられる人
- 段取りが崩れても慌てず、その場で動き直せる人
- うまくいかない原因を人のせいにせず、自分のやり方から直せる人
向いていなくても活躍できた人もいる
おもしろいのは、最初は「向いていない」と思われたのに、ふたを開けたら活躍した人がいることです。共通点はシンプルで、足りないスキルを熱量で補っていました。
口下手でも、求職者一人ひとりに本気で向き合う姿勢が伝わって信頼を勝ち取る。要領が悪くても、誰よりも数を動いて成約までたどり着く。スキルは後からいくらでも積めます。だから「この仕事を本気でやりたい」という熱量がある人は、入口の適性だけで諦めないでほしい。これは本心です。
向いていないと気づくサイン
ここで大事なのは、「スキル不足で成果が出ない」と「人間性として向いていない」はまったくの別物だということ。次の2つが重なったときが、向いていないを疑うタイミングです。
ひとつは、そもそも成果を出したいという気持ちが湧いてこないこと。もうひとつは、求職者や企業と話すこと自体が苦しいこと。前者のスキル不足は経験で埋まりますが、後者は改善が難しい。早めに気づいて方向転換するほうが、本人にとってもずっといい結果につながります。
人材紹介に入る動機で多いのが「人の役に立てる仕事をしたい」という思いです。ただ実際の業務はKPI管理・ノルマ・件数管理が並走します。「売上を出すことと求職者の役に立つことは両立できる」という自分なりの納得感を早く見つけた人が、長く活躍する傾向があります。

人材紹介の営業職の年収・インセンティブの仕組み

人材紹介の営業職の年収は、会社とポジションで幅がとにかく大きい。これが最大の特徴です。doda職種図鑑(2025年)では、人材サービス営業職の平均年収は414.8万円、いちばん多い帯が300万円台(36%)、次いで400万円台(28%)でした(*3)。
この平均には入社数年目の担当者が多く含まれます。つまり、成果を出すほど上に振れていくのがこの職種のおもしろさです。そもそも紹介手数料は求職者の年収の30〜35%が相場で、1件の成約がそのまま会社の売上に直結する。だからこそ、その一部を個人に返すインセンティブ設計が成り立つわけです。
固定給+インセンティブ型と固定報酬型
年収の仕組みは、大きく2パターンに分かれます。
ひとつは固定給+インセンティブ型。中小・特化型に多く、ベースの固定給(月収20〜25万円程度)にインセンティブが乗ります。還元の方式は会社ごとにバラバラで、「月間売上の15〜20%を還元」型や「粗利の20%を月次で還元」型などがある。成果が出るほど増えますが、立ち上がり期(最初の3〜5ヶ月)は成約が少なく、どうしても低水準になりがちです。ここは覚悟しておいたほうがいい。
もうひとつは固定報酬メイン型。大手や一部ベンチャーに多く、基本給が高めに設定されています。安定感はある一方、成果連動でガツンと稼ぐのは狙いにくい。自分がどちらの設計で働きたいのかは、入社前にはっきりさせておくと後悔しません。
会社タイプ別の年収レンジの目安
肌感覚としては、こんな目安です。実際の年収は報酬設計・担当職種・個人の成果で大きく動くので、あくまで参考値として見てください。
| 会社タイプ | 月売上目標の目安 | 年収レンジの目安 |
|---|
| 中小・両面型・特化型 | 200〜300万円/月 | 350〜600万円 |
| 大手片面型 | 500〜1,000万円/月 | 400〜800万円 |
| ハイパフォーマー全タイプ | 目標超過を継続 | 800〜1,000万円以上 |
「入社1〜2年で年収1,000万円も可能」という求人表記、よく見かけます。これはインセンティブが何重にも重なった例外的なケースです。この水準を実際にやれている人は業界でもごく少数。そう理解したうえで判断してください。
入社前にノルマ設計を見抜く
「ノルマがきつすぎた」という後悔は、たいてい事前確認の不足から生まれます。面接で確かめたい核心は「成果実績の比率」です。
- 「年収1,000万円超えの人がいる」と言われたら →「何人中何人が達成していますか?1年を通じての金額ですか?」と踏み込む
- 「なぜその人は達成できたのか」を続けて聞く
- 「スキルや経験がこういう人だから」と具体的に返ってくれば、再現性があると判断できる
回答が曖昧なら、仕組みとして高収入が出やすい環境はまだ整っていないのかもしれません。OpenWorkや転職会議でリアルな口コミを当たっておくのも、ひと手間かける価値があります。
*3: doda「職種図鑑 人材サービス営業」(2025年/平均年収414.8万円)
人材紹介の営業職のキャリアパスと将来性

経験を積んだあとのキャリアで多いのは、事業会社の採用担当・HRBPへの転身、独立して人材紹介会社を立ち上げる道、同業他社でマネジャーになる道、この3つです。市場も伸びていて、職種そのものの将来性は高く評価されています。
主なキャリアパス
いちばん多いのが、事業会社の採用担当・HRBPへの転身です。RA経験者は企業側の採用ロジックを知り尽くしているので、人事部門で即戦力として歓迎されやすい。CAの経験も、面接設計・候補者評価・オンボーディングにそのまま生きます。「実務3〜5年」は、人事ポジションへの転職でかなり強い武器になります。
次に、独立して人材紹介会社を立ち上げる道。人材紹介業は開業要件が比較的低く(厚生労働省への許可申請と供託金など)、実務経験者が独立するケースは珍しくありません。両面型でRA・CA両方の感覚を持つ人ほど、独立後の絵が描きやすい傾向があります。
3つ目は、同業他社でのマネジャー登用。特化型や成長期のベンチャー系では、成果を出したRA・CAをマネジャーに引き上げる動きがよくあります。努力でのし上がってきたタイプは、伸び悩む部下のサポートでこそ力を発揮します。
市場の成長と今後の変化
矢野経済研究所によると、2024年度の人材紹介市場は4,490億円(前年比12.0%増)。人材ビジネス全体では、2025年度に10兆円を超える見通しです(*4)。
背景にあるのは「求人広告だけでは採用できなくなった企業が、人材紹介に頼る」という構造の変化です。実際、採用課題を抱える企業は57.8%にのぼり、必要人数を確保できた企業は40.3%にとどまります(*5)。採れない企業が増えるほど、人材紹介の出番は広がっていく。
もちろん業界再編やAI活用も進んでいます。汎用的なマッチングだけを担う営業より、「本音を引き出す面談力」や「特定業界の深い知見」を持つ営業のほうが、長い目で見て価値を保ちやすい。私はそう考えています。
*4: 矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査を実施(2025年)」
*5: リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2024年度上半期実績、2025年度見通し 正規社員)」
人材紹介の営業職についてよくある質問

A転職できます。法人営業の経験があれば即戦力として評価されやすく、未経験でも「目標達成意欲」と「傾聴力」があれば採用されるケースは多くあります。ただし入社後3〜5ヶ月は成果が出にくい時期が続くので、そこを乗り越える準備を持って入社できるかが分かれ目です。
QRA(リクルーティングアドバイザー)とCA(キャリアアドバイザー)はどちらがきついですか?
Aきつさの「種類」が違います。RAは企業の採用ニーズの急変・件数競争がきつさの中心、CAは求職者のキャンセル・感情労働の蓄積がきつさの中心です。どちらに向き合えそうかが職種選びの判断軸になります。両面型は両方が加わるので、業務負担としては最も大きくなります。
A極端に高いわけではありません。業界の離職率は14.2%程度で、全産業の平均と大きく離れてはいません(*2)。ただし成果が出るまでのリードタイムが長く、最初の6ヶ月で辞めるケースが多いのは事実です。最初の転換点を越えられるかどうかが、続くかどうかの分かれ目になります。
Q人材紹介の営業職から人事への転職はしやすいですか?
Aしやすい部類です。とくにRA経験者は採用企業側の視点を持っているので、事業会社の採用担当・HRBPとして評価されやすい。CA経験者は面接対策・候補者評価のノウハウが人事業務に直結します。3〜5年の実務経験があれば、人事への転職は十分に現実的な選択肢です。
Aまずは「スキル不足なのか、人間性として向いていないのか」を切り分けてみてください。スキル不足なら経験で改善できます。ただ、求職者や企業と話すこと自体が強いストレスになっていたり、成果を出したい気持ちが根本から湧いてこない場合は、別の職種・業界を検討するのも立派な選択です。判断に迷うときは、CA専門のエージェントに一度相談してみるのも手です。
【免責事項】
※本記事に記載の数値・事例は参考情報であり、個人の状況や転職先によって結果は異なります。転職の意思決定は、ご自身の状況を踏まえた上でご判断ください。