「人手不足が深刻な今、人材業界への転職はチャンスが多いのでは?」と感じているなら、その直感は半分正しく、半分は危険です。
企業が採用に困るほど人材紹介・派遣への需要が高まるのは事実です。
ただし2026年時点では、人材業界の中でも成長しているセグメントと苦戦しているセグメントの格差が急速に広がっています。
本記事では、3社の人材紹介会社を立ち上げてきた著者が、最新データをもとに人材業界と人手不足の関係、追い風の実態、そして転職前に確認すべき判断軸を本音で解説します。

「人手不足が深刻な今、人材業界への転職はチャンスが多いのでは?」と感じているなら、その直感は半分正しく、半分は危険です。
企業が採用に困るほど人材紹介・派遣への需要が高まるのは事実です。
ただし2026年時点では、人材業界の中でも成長しているセグメントと苦戦しているセグメントの格差が急速に広がっています。
本記事では、3社の人材紹介会社を立ち上げてきた著者が、最新データをもとに人材業界と人手不足の関係、追い風の実態、そして転職前に確認すべき判断軸を本音で解説します。

監修者
株式会社アイジール 代表
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の転職エージェント事業を運営。

帝国データバンクの調査(2026年1月)によると、正社員が不足していると感じている企業は全体の52.3%に達しています(*1)。
なかでも人材派遣・紹介業は非正社員不足が60.0%と全業種で最も高い水準です。
人手不足を解消するはずの人材業界が、最も深刻に人手不足に直面しているという逆説的な構造がここにあります。
採用ニーズは急増しているのに、キャリアアドバイザー(CA)を育てる時間と体制が追いつかない。
中小の人材紹介会社では、ベテランCAが1人退社するだけで売上の柱が一気に折れるリスクがあります。
需要が増えれば増えるほど、CAの質と量の不足が顕在化するという構造的矛盾が、この業界特有の課題になっています。
*1: 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年1月)」
帝国データバンクの調査によると、2025年に発生した人手不足倒産は427件にのぼり、3年連続で過去最多を更新しました(*2)。
年間として初めて400件を超え、前年(342件)から85件増という急増ぶりです。
倒産した企業の77.0%(329件)が従業員10人未満の小規模企業。
「社員が1人抜けただけで現場が回らなくなった」という状況が、そのまま廃業につながっているケースがほとんどです。
業種別では建設業が113件(初めて100件超)、物流業が52件(過去最多)、労働者派遣業が13件と前年から5件増加しています。
人手不足を解消する役割を担う業種の一つである労働者派遣業でさえ、倒産が増えているという現実は、問題の根深さを物語っています。
*2: 帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年)」

日本の人手不足は一時的な現象ではありません。
パーソル総合研究所の推計によると、2035年には1日あたり1,775万時間(384万人相当)の労働力が不足し、その規模は2023年比で1.85倍になるとされています(*3)。
少子高齢化・働き方の変化・AIによる職種の質的変化という3つの構造変化が重なっており、いずれも短期で解消される見込みはありません。
*3: パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2035」(2024年10月)
日本の生産年齢人口(15〜64歳)はすでに長期的な減少局面に入っており、この流れは今後も止まりません。
就業者数は2023年の6,747万人から2035年の7,122万人へと増加する見込みがあるものの、求められる労働時間の総量に追いつかず、不足は深刻化する一方です。
実際に採用の現場で感じるのは、「少し前まで20代限定だった求人が35歳まで、さらに40歳まで対象を広げている」という変化の速さです。
「外国人NGだった企業が外国人可に転換している」という動きも、この数年で急加速しています。
求人を出せば人が集まる時代が終わり、「まず確保する」方向に採用企業が舵を切り始めているのが2026年の現実です。
採用条件の緩和は数字だけでなく、「求める人物像」の変化としても表れています。
スキル要件の緩和、未経験可の拡大、雇用形態の多様化と、採用企業が条件を引き下げてでも人を確保する方向に動いています。
業界に長くいると見えてくるのが、「いい人材がいたらすぐ連絡してほしい」という採用担当者の切迫感です。
以前なら「紹介を検討する」という段階だった企業が、今は「即面接でいい」と言ってくる場面が増えています。
「えり好みできる時代は完全に終わった」というのが、採用の現場に近い立場からの実感です。
こうした状況は人材業界にとっては需要の底上げを意味します。
採用に困る企業が増えるほど、専門的なサポートを求める声が高まるからです。
人材業界への転職を検討している方にとって、こうした構造変化は追い風になりうる。
ただし、その追い風が自分に届くかどうかは「どのセグメントを選ぶか」にかかっています。
CA職特化の非公開求人や業界経験者による情報をもとにセグメントを選びたいという方は、一度アイジールジョブへご相談ください。

企業が採用に困れば困るほど、人材業界のサービスへの需要は高まります。
特に2025〜2026年は、通常の求人掲載では採用できない企業がRPO(採用業務代行)へシフトし、エッセンシャルワーカー領域では採用単価の上昇によって人材紹介の市場が本格的に成立しました。
追い風は確かに吹いており、それは数字としても見えています。
RPO市場が2025〜2026年で急成長しているのは、3つの動きが同時に起きているからです。
<背景①:求人を出しても採用できない企業のシフト>
求人広告を掲載しても応募が来ない状況が常態化した企業が、採用の「仕組みごと外注」するRPOにニーズを移しています。
「媒体を変えても採用できない」という状況が続くほど、RPOへの移行が加速します。
<背景②:人材紹介会社自身がRPO事業に転換している動き>
求職者を自社で集客できなくなった人材紹介会社が、「採用支援(RPO)」としてサービスを再定義し始めています。
紹介という仕組みだけに頼らず、採用プロセス全体を支援する形へのシフトが加速しています。
<背景③:採用単価の高騰でRPOを混ぜて全体コストを下げたい需要>
人材紹介を使い続けると、1人採用あたりのコストが年々上昇します。
採用全体のコスト構造を変えるために、RPOと人材紹介を組み合わせる企業が増えています。
エッセンシャルワーカー(物流・建設・介護・看護など)の人材紹介は、数年前まで「採用単価が低く、人材紹介ビジネスとして成り立ちにくい」とされていた領域です。
それが今、採用単価が40万円台へ上昇し、人材紹介の市場として本格的に機能し始めています。
業界に近い立場で感じてきたのは、エッセンシャルワーカー特化型は競合が少なく、今が参入できるタイミングという変化です。
ホワイトカラー領域が飽和状態に近づく中で、エッセンシャルワーカー特化型の成長余地はまだ大きいと見ています。
介護分野では厚生労働省の推計で2026年度に25万人の職員確保が必要であり、採用ニーズの底堅さは今後も続く見込みです(*4)。
*4: 厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」

人材業界の市場は拡大しているものの、2024年度の人材関連サービス業の倒産は過去10年最多を更新しています。
成長の恩恵は特定のセグメントに集中しており、どのセグメントにいるかで実態が全く異なります。
「業界が成長しているから安泰」という見方は、2026年時点ではすでに通用しません。
複数の人材紹介会社を立ち上げてきた著者の現場感覚として、現在の人材業界は明確に2つの方向に分かれています。
| セグメント | 現在の状況 | 主な理由 |
|---|---|---|
| RPO(採用業務代行) | 急成長中 | 採用できない企業からのシフト・コスト構造改善ニーズ |
| エッセンシャルワーカー特化型 | 成長中 | 競合少・採用単価上昇で市場として成立し始めた |
| ハイクラス・専門職特化型 | 安定成長 | AI代替しにくく、高単価を維持できる領域 |
| 汎用ホワイトカラー人材紹介 | 横ばい〜下落 | 新規参入が多く競争激化。AI代替リスクと人口減少が直撃 |
| 事務職・コーディング系特化 | 注意が必要 | 扱う職種自体のAI代替リスクが高い |
汎用型のホワイトカラー人材紹介では、売上が横ばいや下落傾向にある企業が目立ってきています。
「大手に入れば安泰」という発想で選ぶのは、2026年時点ではリスクがある選択です。
人材紹介業界は今後、「大手AI型」と「中小ハイタッチ型」の2極化が進む見込みです。
大手(売上上位の人材紹介会社)は、大量のマッチングデータを活かしてAIによる自動マッチングに注力する方向に動いています。
スケールメリットを活かせる大手ならではの選択で、2030年頃にかけてこの傾向はさらに強まると見られています。
一方、中小の人材紹介会社は「人が仲介することそのもの」に価値を置く方向に特化していきます。
転職という人生の大きな意思決定には、AIより人間に背中を押してもらいたいという求職者が一定数いるからです。
特に年収600万円以上のハイクラス転職や、「失敗できない」という意識が強い転職では、人間の介在への需要は根強く続く見込みです。
この2極化の構造は、転職先としてどちらの会社を選ぶかという判断にも直結します。
「大手で型を学びながら、AIと共存したスキルを磨きたい」のか、「中小で裁量を持ちながら、ハイタッチ型の専門性を磨きたい」のか。
入社前にこの軸を明確にするかどうかが、5年後の市場価値を左右します。
人材業界への転職を具体的に考えているなら、どのセグメントのどんな会社を選ぶかがその後のキャリアを決めます。
CA職特化の非公開求人や業界経験者によるセグメント選びのアドバイスを聞きたい方は、まずアイジールジョブへご相談ください。

人手不足が深刻なほど、企業も求職者も本当に困っている状態にあります。
だからこそ、「求人を並べて提案するだけ」のキャリアアドバイザーより、「意思決定に伴走できる」キャリアアドバイザーの価値は高くなる一方です。
人手不足の追い風は、伴走できる人にだけ吹きます。
CA(キャリアアドバイザー)の業務の中でも、AIに代替されやすい領域とそうでない領域がはっきり分かれてきています。
代替されやすい業務として挙げられるのは次の4つです。
いずれも現在進行形で自動化が着実に進んでいる領域になります。
求人データベースからの条件マッチング
書類添削の定型フィードバック
面接日程の調整
求職者への定期フォローのメール送付
一方、代替されにくい業務は以下の3点です。
求職者が言葉にできていない本音の悩みを引き出す面談力
意思決定の瞬間に寄り添う力
特定業界・職種への深い知見と人脈の構築
AIが効率化してくれた分の時間を「より質の高い面談」に使えるかどうかが、これからのキャリアアドバイザーの差別化ポイントです。
「本音を引き出せるCA」の市場価値は、AIが進むほど相対的に高まっていきます。
代替されやすい作業が先になくなるほど、残った部分の価値が浮き彫りになるからです。
人材業界で長く活躍できる人と早期に燃え尽きる人を分けるのは、スキルの差ではありません。
「売上を追うこと」と「求職者・採用企業の役に立つこと」を同じゴールとして整理できるかどうか、これが全てです。
これまで多くのCAと一緒に働いてきた中で感じてきたのは、この2つを「対立するもの」と捉え続ける人が消耗していくということです。
「ノルマを達成しなければ求職者の役に立てる余裕がない」と気づいてから、仕事のペースが変わるケースを何度も見てきました。
「まず目標を達成できるようになってから、じっくり求職者のことを考えよう」という整理ができる人は続きます。
一方で「数字のために動くのが嫌だ」という感覚が抜けないまま進んでしまうと、成果も出ず、感謝もされず、疲弊する状態に入りやすくなります。
「人の役に立っている実感」と「数字の達成感」が両立できるマインドセットを持てる人が、人手不足の追い風を最もうまく活かせるでしょう。

人材業界への転職を考えているなら、「人手不足だから需要がある」だけで判断しないことが重要です。
どのセグメントのどんな会社を選ぶかが、入社後のリアルを決めます。
5年後を見据えて選ぶための3つの判断軸を確認してください。
転職支援をしていると実際によく受ける質問が、「未経験で人材業界に入るなら、どの会社がいいですか?」というものです。
2026年現在、著者の回答は一貫しています。「エッセンシャルワーカー特化型の中小両面型エージェントが、最もリスクが低い」です。
<理由①:成約スピードが早く、手応えを掴みやすい>
ホワイトカラー人材紹介では、初回面談から転職成立まで2〜5ヶ月かかり、未経験CAが最初の成約を取るまで3〜5ヶ月かかることも珍しくありません。
エッセンシャルワーカー特化型では求職者の転職決断スピードが早く、1〜3ヶ月で手応えを掴めるケースが多いという特徴があります。
「自分でもできる」という感覚を早期に得られるかどうかは、モチベーションの維持に大きく影響します。
<理由②:競合が少なく、成約しやすい環境がある>
ホワイトカラー領域は競合が多く、求職者が「複数のエージェントに登録している」状況が当たり前です。
エッセンシャルワーカー特化型はまだ競合が少なく、求職者との関係を深めやすい環境があります。
<理由③:両面型で企業側も見られる経験が積める>
両面型(CA+RA両方を担う形態)とは、求職者対応と法人開拓の両方を一人で担う働き方を指します。
企業の採用課題を理解した上で求職者に提案できる力は、片面型ではなかなか身につかない長期的な資産になります。
転職支援をしていると、「大手に入りたい」という理由だけを持ってくる方と出会うことがあります。
そのたびに確認するのが以下の3点です。
<問い①:なぜ大手でなければならないのか>
「安定したい」「ブランドが欲しい」だけで選ぶ方は、入社後に「思ったより数字に追われる」「自由度が低い」とギャップを感じやすい傾向があります。
大手が向いているのは「面談の型を体系的に学びたい」「大企業クライアントとの商談経験を積みたい」という人です。
<問い②:5年後にどうなりたいのか>
大手を出てから独立・転職を考えているなら、「大手の名前がついている間に市場価値を確認できる動き方」をすることが重要です。
大手にいること自体がゴールになると、成長が止まりやすくなります。
<問い③:数字と向き合うことへの耐性はあるか>
大手でもKPI管理は徹底されており、明確な目標管理のプレッシャーがあります。
「数値目標があった方が動きやすい」タイプなら大手に合っており、「裁量を持って自分で考えて動きたい」タイプなら中小・特化型の方が自分らしく働けます。
加えて、入社前に必ず確認してほしい3点があります。
インセンティブが発生する最低成約件数(低ければ立ち上がりが早い)
OJTやメンター制度などの育成体制
入社後フォローの有無
これらは求人票に載ることが少なく、面接でしか確認できない情報ですが、入社後の現実を大きく左右します。

人材業界の人手不足はいつ解消されますか?
人材業界への転職は今がチャンスですか?
未経験でも人材業界に転職できますか?
人材派遣会社自身が人手不足になっている理由は何ですか?
人材業界で働く上でAIの影響は今後どうなりますか?
【免責事項】
※本記事に記載の数値・事例は参考情報であり、個人の状況や転職先によって結果は異なります。転職の意思決定は、ご自身の状況を踏まえた上でご判断ください。
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監修者
株式会社アイジール 代表取締役
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の人材紹介事業を運営しております。