「人材業界は年収が低い」と聞いて、転職をためらっている方は少なくないはずです。
確かに、入社後に「思っていたより稼げなかった」と感じる人がいるのも事実です。
ただ、それが業界全体の話なのか、特定の会社・事業形態の話なのかは、まったく別の問題です。
正直なところ、現場の感覚としては「年収が低い会社」と「高い会社」の差は、同じ人材業界でも驚くほど大きいものです。
この記事では、年収が低くなりやすい構造的な理由と、稼ぎやすいセグメント・会社の見極め方を、数字をもとに解説します。

「人材業界は年収が低い」と聞いて、転職をためらっている方は少なくないはずです。
確かに、入社後に「思っていたより稼げなかった」と感じる人がいるのも事実です。
ただ、それが業界全体の話なのか、特定の会社・事業形態の話なのかは、まったく別の問題です。
正直なところ、現場の感覚としては「年収が低い会社」と「高い会社」の差は、同じ人材業界でも驚くほど大きいものです。
この記事では、年収が低くなりやすい構造的な理由と、稼ぎやすいセグメント・会社の見極め方を、数字をもとに解説します。

監修者
株式会社アイジール 代表
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の転職エージェント事業を運営。

人材業界の平均年収は約509万円で、国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」による日本全体の平均給与460万円(*1)を上回っています
ただし、これはあくまで業界全体の平均値であり、事業形態・会社規模・インセンティブ設計によって、実際の年収は300万円台から1,000万円超まで大きく幅があります。
「人材業界は年収が低い」という評判は、特定のセグメントや会社での実態が先行して広まっている面が否定しきれないのが実情です。
まず、業界内の年収水準をざっくりと整理してみましょう。
| 事業形態 | 年収水準 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 人材紹介(エージェント) | 高め | 利益率が高く、個人の成果差も出やすい |
| HR Tech(資金調達済み) | 中〜高め | ただし上限は限定的なケースが多い |
| HR Tech(自己資金) | 低め | 赤字抑制が優先されやすい |
| 求人広告 | 中〜低め(下落傾向) | 成果報酬型シフトで収益性が落ちている |
| 人材派遣 | 中程度(安定) | 構造的に年収が大きく上がりにくい |
「低い」と感じるかどうかは、どの事業形態の、どういった規模の会社に入るかで大きく変わります。
OpenWork「人材サービス業界 平均年収ランキング」によると、エンワールド・ジャパンが934万円、リクルートグループ各社で800〜960万円台、パーソルキャリアが約819万円と、業界大手では高い水準が出ています(*2)
一方、未経験でCA(キャリアアドバイザー)として入社した場合は、300〜400万円スタートになるケースも多く、ランキング上位の数字とのギャップを感じやすくなっています。
この幅の正体を理解するには、年収が低くなりやすい「構造的な理由」を知ることが不可欠です。
*2: OpenWork「人材サービス業界 平均年収ランキング」(2025年10月時点)
・事業形態(紹介・派遣・広告・HR Tech)別の年収差とその仕組み
・今の会社の年収水準を「続けるべきか・転職すべきか」判断する方法
・入社前に確認すべきインセンティブ設計のチェックポイント

年収が低くなりやすい人材業界の会社には、4つの共通した構造があります。
参入障壁の低さによる競争激化、人材派遣ビジネスの利益率の低さ、インセンティブ発生ラインが高すぎる設計、ホワイトカラー系でのAI影響による成約難易度の上昇、の4つです。
どれか1つだけが当てはまる会社もあれば、複数が重なっている会社もあります。
人材業界は、他の業界と比べて参入障壁が低い業界として知られています。
事業を始めるために必要な設備・資格・資金の条件が厳しくないため、個人事業主から中小ベンチャーまで、幅広い規模の事業者が新規参入しやすい構造になっているのが実情です。
厚生労働省の報告によると、令和6年度の有料職業紹介事業所数は30,561事業所に上ります(*3)
競合が多くなれば、各社は競争に勝つために採用企業へのサービス単価を下げる方向に動きやすくなります。
単価が下がれば社員に還元できる原資が減るという構造です。
特に中小規模の会社では「競合他社に負けない価格」を維持しようとするプレッシャーが強く、結果として従業員の年収が抑制されやすくなります。
「頑張っているのに給料が上がらない」という不満が生まれやすいのは、この構造的な価格圧力が背景にあるケースが少なくありません。
会社を選ぶ際に「競合が少ないニッチ領域かどうか」を意識するのは、そういった理由からです。
*3: 厚生労働省「職業紹介事業の事業報告の集計結果について」
人材業界の中でも、人材派遣は利益率が特に低い事業形態です。
人材紹介(エージェント)の利益率が約20%であるのに対し、人材派遣の利益率は約1.2%とされています(*4)。
この差は、ビジネスモデルの根本的な違いから生まれます。
利益率が1.2%ということは、1,000万円の売上があっても手元に残る利益は約12万円しかないということです。
この水準では、社員に高い年収を支払うための原資が構造的に生まれにくくなります。
派遣会社に転職して「年収が上がりにくい」と感じやすいのは個人の努力の問題ではなく、ビジネスモデルに原因がある というのが実態です。
*4: 一般社団法人日本人材派遣協会「人材派遣を知る/データ」
人材業界の多くの会社は、固定給+インセンティブ(変動給)という給与体系を採用しています。
インセンティブが高く設計されている会社では、成果次第で大きく稼げるのは事実です。
しかし問題になるのが、インセンティブが発生する条件のハードルです。
たとえば「月に○件以上の成約がないとインセンティブはゼロ」という設計の会社では、そのラインをクリアできない社員が大多数になると、実質的には固定給だけで働いているのと変わりません。
インセンティブ制度があっても大多数のCAが受け取れていないというのは、珍しくない話です。
また、求人票に「年収600万円以上可」と書いてあっても、それは一部の高いパフォーマーの実績値で、実際の中央値はそれより大幅に低いケースも多いです。
入社前に「自分と似た経歴の先輩が1年後・2年後にどれくらいの年収になっているか」を具体的に確認することが、入社後の後悔を防ぐ有効な方法です。
2025〜2026年現在になって顕在化してきた、比較的新しい変化です。
事務職・コーディング系などのホワイトカラー職種では、AIの普及によって採用枠そのものが縮小してきています。
採用枠が減れば、CAが求職者をマッチングさせる機会も減り、成約難易度が上昇します。
かつては「一定の行動量をこなせば一定の成約件数が出た」という時代がありました。
しかし今は、同じ行動量でも成約件数が減っているというケースが増えています。
特に大手ホワイトカラー系の人材紹介会社に在籍しているCAにとって、これは年収の伸びが鈍化する直接的な原因になりつつあります。
「大手に入れば安心」という前提が崩れつつある現在、どのセグメントを選ぶかはこれまで以上に重要になっています。
ここまで見てきたように、人材業界の年収が低くなりやすい構造は実在します。
ただ、これはすべての会社・事業形態に当てはまるわけではありません。
インセンティブ設計や非公開求人の実態まで知った上で選ぶことで、同じ業界でも年収水準は大きく変わります。
CA職特化のエージェントであれば、表に出にくい求人情報も含めて比較しながら動けるので、興味のある方は一度アイジールジョブへ相談してみてください。

事業形態による年収差は「利益率」と「属人性の高さ」の掛け算で決まります。
利益率が高く、かつ個人の成果が売上に直結しやすい事業形態ほど、経営者が「高い年収で採用しよう」「成果を出している社員に報いよう」という意思決定をしやすくなります。
業界内部にいる人間の感覚として、この2軸が年収水準を決める最大の要因だと感じています。
人材紹介(エージェント)が人材業界の中で最も年収が高くなりやすい事業形態です。
利益率は15〜35%程度で推移することが多く、他の事業形態と比べて高い水準にあります(*4)。
加えて、CA個人のパフォーマンスによって売上・利益率が大きく変動するという「属人性の高さ」があります。
この属人性が重要です。
「AさんとBさんで、同じチームにいても月間売上が3倍違う」という状況が普通に起きる職種なのが、CAという仕事の特性です。
成果差が生まれやすいということは、経営者にとって「優秀な人材を高い年収で確保する合理性」が生まれやすいことを意味します。
結果として、人材紹介会社は業界内で年収の相場が高くなりやすい構造になっています。
人材派遣は、利益率の低さに加えて属人性の低さも年収が伸びにくい理由になっています。
派遣のビジネスモデルは「毎月一定数の派遣社員を企業に送り出す」という流れが基本です。
採用企業側も「派遣なら契約終了が可能」という安心感から、ハードルを下げて受け入れることができます。
そのため、誰がどれだけ頑張っても成果の差が出にくい「属人性が低いモデル」になりやすいのです。
誰がやっても一定の成果が出るモデルでは、経営者が高い年収で採用する理由が生まれにくいというのが現実です。
もちろん例外はありますし、一般的な他業種の営業職と比べてインセンティブが充実しているケースもあります。
ただ、構造として「年収の天井が低くなりやすい」傾向があることは理解しておく必要があります。
求人広告は、2025〜2026年現在で収益性が落ちてきている事業形態です。
「求人広告を出しても採用できない」企業が増えており、多くの媒体が掲載料無料+成果報酬型にシフトしてきました。
成果報酬型になると契約数は増えますが、各求人の競合が激化し、1社あたりの採用成功件数が減少しやすくなります。
結果として収益性が低下し、社員の年収に反映されにくくなっているケースが増えています。
HR Tech(SaaS型の人事テック)については、資金調達状況によって大きく異なるのが実情です。
自己資金で運営している会社は、SaaSの特性上「数年間の赤字を垂れ流してから黒字化するモデル」のため、人件費を抑制しながら運営する傾向があります。
一方、資金調達を完了している会社では採用競争力が一定程度確保されていることが多いですが、インセンティブ水準が大きく上がることは少ないケースが多いです。
ここまで、事業形態ごとの年収差を見てきました。
「今の会社の年収水準が業界内のどの位置にあるか」を知りたい場合、CA職特化のエージェントと話すのが最も情報が集まりやすい方法です。
非公開求人を含めた条件比較ができるため、自社の水準を測る基準としても活用できます。
すでに人材業界で働いていて「今の年収に疑問がある」という方も、気軽にアイジールジョブへ相談してみてください。

年収が低い状態が続く会社にいる場合、まず確認すべきことがあります。
それは「同じ売上を出した場合に、他社ではいくらの年収をもらえるか」という比較です。
この比較をしないまま「年収が低いから転職する」と判断するのは早く、逆に「まだ頑張れるかも」と留まり続けるのも、判断材料が不足している状態かもしれません。
これまで多くのCAと一緒に働いてきた中で気づいてきたのが、「同じ月間売上を出しても、会社によって手元に残る年収が大きく違う」という現実です。
月間売上200万円を達成したときに、A社では年収600万円になるのに、B社では年収450万円にしかならない、というケースは実際に起きます。
この差を知るために有効なのが、他社のCAと話してリターンの水準を比較することです。
セミナーや業界イベント、SNSなどを通じて他社のCAと接点を作り、「月間売上○○万円のとき、年収はどれくらいでしたか?」と聞いてみてください。
複数の比較対象ができれば、自分の会社のインセンティブ設計が業界内でどの水準にあるかが見えてきます。
明らかに他社よりリターンが少ない構造になっていると判断できるなら、転職を考えるタイミングかもしれません。
「他社のCAと話す機会が作れない」という方もいるでしょう。
その場合は、CA職に特化した転職エージェントを使って情報収集するのが現実的な選択肢です。
在籍している会社の内部にいると、自社のインセンティブ設計が業界内で「高いのか・低いのか・普通なのか」の感覚を持ちにくいものです。
外部の視点を持つエージェントと話すことで、他社の年収・インセンティブ設計の実態情報を集めることができます。
転職するかどうかは、その情報を得てから判断しても遅くはありません。
情報収集と転職活動は別物です。
まずは「自分の会社の相対的な水準を知る」ことを目的にエージェントを活用するのは、有効なアプローチです。
転職を判断する際、年収だけを基準にするのは注意が必要です。
たとえば、今の会社が「ホワイトカラー以外のニッチ領域を開拓している」「育成体制が整っていてスキルが急速に伸びている」「数年後に責任者ポジションが狙える環境にある」といった状況であれば、年収以外に得られているものを含めて判断する必要があります。
反対に、インセンティブ設計が後出しで変更されたことがある、多くの社員が疲弊して定着率が極端に低い、という状況であれば、それは「会社の構造的な問題」と判断してよいケースが多いです。
「自分の頑張りが足りないのか、会社の設計が悪いのか」を切り分けることが、転職判断の最初のステップです。
②インセンティブ発生ラインが業界水準と比べて高すぎないか
③年収以外に得られているもの(スキル・経験・将来性)があるか
この3点を整理した上で判断することで、転職後の後悔を減らせます。

人材業界で年収を上げるために最も重要なのは、入社前の会社・セグメント選びです。
インセンティブが発生する最低ラインの低さ、育成体制の充実度、還元率の上限がないかどうかを事前に確認することが、長期的な年収水準を左右します。
実際、同じ人材業界でもセグメントを変えただけで年収が大きく変わった、という人は著者の周囲にも少なくありません。
著者がこれまで見てきた範囲では、物流・建設・介護・看護といったエッセンシャルワーカー特化型のエージェントが、年収面で高いポテンシャルを持つケースが多いです。
主な理由は5つあります。
競合が少ない:大手が参入しにくい領域のため、価格競争になりにくい
立ち上がりが早い:2週間程度でキャッチアップし、1〜2ヶ月目から成約が出やすい
ワークライフバランスが取りやすい:朝型の業界が多く、20〜20時半には退社できるケースが多い
成約件数が安定しやすい:求人・求職者のバランスが安定しており、成果が出やすい
年収の天井が高い:グレード制のロールアップで報酬上限が青天井になりやすい設計が多い
これはあくまで事例の傾向であり、会社やポジションによって大きく異なります。
著者が実際に見てきた中では、このセグメントで年収1,000万円を超えたCAが複数おり、例外的なケースとして1,600万円超の事例もありました。
「大手ホワイトカラー系のエージェント=安全・高年収」という思い込みは、2025〜2026年現在では見直す余地があります。
入社前に以下の3点を必ず確認することで、「入ってから稼げなかった」というミスマッチを防ぎやすくなります。
① インセンティブが発生する最低ラインの低さ
「月に何件以上の成約から発生するか」を面接で必ず確認してください。
発生ラインが高いほど、大多数のCAが受け取れない設計になっている可能性があります。
月1件の成約からインセンティブが発生する設計の会社は、稼げる確率が上がりやすいです。
② 育成体制の充実度
インセンティブ設計がどれだけ良くても、ゾーンに入る前に疲弊・退職してしまえば意味がありません。
「入社後の研修・ロールプレイ・1on1サポートはどのくらいありますか?」という質問を面接でするだけで、会社の育成への投資姿勢が見えてきます。
③ インセンティブの上限値
「上限なし」か「上限あり」かを確認してください。
上限が設定されている設計の会社では、どれだけ頑張っても年収の天井が決まってしまいます。
特に「粗利×○%型」のシンプルな設計をしている会社は、自分が上げた売上にダイレクトに報酬が連動するため、努力が反映されやすい傾向があります。
2025〜2026年現在、CAの中で「年収が下がる人・上がる人」の分岐がはっきりしてきています。
条件マッチング・求人検索・提案書作成といった業務は、AIによって代替されやすい業務です。
これらを中心に業務が成り立っていた「御用聞き型」のCAは、差別化ポイントを持てなくなりつつあります。
一方、求職者の本音や潜在的な悩みを引き出し、言語化できるCAは、AIに代替されにくい存在です。
AIが業務効率化してくれた分の時間を「面談の質向上」に集中投資できる人は、今後さらに市場価値が上がっていく可能性があります。
どの事業形態・どの会社を選んだとしても、「人間にしかできない価値を提供できるCA」でいることが、長期的な年収水準を保つ条件になっています。

人材業界の年収はいつ上がりますか?
人材派遣と人材紹介、どちらが年収は高いですか?
大手人材会社と中小特化型、どちらが稼ぎやすいですか?
人材業界に転職して後悔しないためのポイントは?
※本記事に記載の数値・事例は参考情報であり、個別の転職を保証するものではありません。転職の判断は、必ずご自身の状況と照らし合わせてご検討ください。
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監修者
株式会社アイジール 代表取締役
株式会社エス・エム・エスへの第二新卒での入社をきっかけに人材業界へ足を踏み入れる。その後、株式会社プレックスの創業メンバー・役員として約3年間、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーを含む業務全般を経験。現在は株式会社アイジールにて、キャリアアドバイザーを中心とした人材・HR業界特化の人材紹介事業を運営しております。